製品含有化学物質管理情報のJIS開発を受託した産業環境管理協会は、化学、電機・電子、自動車などの関連業界団体、学識研究者、消費者などからなるJIS原案作成委員会を設置、作業に取り組む。
JIS原案は、JAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)、JGPSSI(グリーン調達調査共通化協議会)共同発行の「製品含有化学物質情報管理ガイドライン」を基に、サプライチェーン間で共有する共通ルールに関するものとなる。同協会ではグローバル化する製造業の実態を踏まえ、国際規格化を視野に入れた検討も合わせて進める考え。
原案の基になるJAMPは、製造業が製造販売する化学物質・調剤、成型品が含有する化学物質情報を把握管理し、サプライチェーンの川上から川下に製品とセットで受け渡す仕組みを構築。日本電機工業会、日本ガス協会、日本自動車工業会、日本蓄電器工業、日本鉄鋼連盟、日本冷凍空調工業会などの団体と製造業367社が加盟している。
JGPSSIは電機・電子機器メーカーを中心に60社が加盟する団体で、調査対象物質リスト及び調査回答フォーマットを共通化することを目的にしている。大手電機メーカーではグリーン調達パートナーにフォーマットの使用を義務付けている。
JAMP、JGPSSI両団体は2008年3月に「製品含有化学物質情報管理ガイドライン」を共同発行し、大手製造業を中心に採用されてきている。
しかし、まだまだ共通フォーマットの普及は低い。電機・電子業界でも含有化学物質の調査や回答方法はまちまち。RoHS規制にはJGPSSI、REACH規制にはJAMPといった共通方法が採用されているが、各社各様で調査しているケースが多い。そのため、管理コストの負担が大きくなるばかりであった。
特にREACH規制で高懸念物質(SVHC)は29物質が対象であるが、最終的に1500物質に増えるといわれており、製造業にとって化学物質の管理情報コストの軽減が課題であった。それだけに、JIS制定による効果が大きく、早期標準化を求める声が強まっている。