オムロンは、センサー同士が自律的に協調し、利用者に最適な情報・価値を提供するセンサーネットワーク社会の実現に向け、キーデバイスである「スマートセンシングモジュール」(SSM)の実証実験を開始した。
大幅なCO〓排出量削減を可能にするSSMの開発を進めると同時に、実証実験を通じプロセス系工場全体で大幅な環境負荷低減を実現するノウハウの獲得を進め、工場においてエネルギー利用の「全体最適」化を目指す。
同社は、環境に優しく人々が安心・安全・健康で創造的な活動が楽しめる社会の実現を目指し、センサーネットワーク構築に向けた技術開発を行っている。センサーネットワークとは、同社のセンシング&コントロール技術とネットワーク技術を融合させ、センサー同士が自律的に分散・協調しあい、利用者に最適な情報・価値を提供する未来社会に向けた情報基盤である。
同ネットワークが実現する価値の一つに、工場におけるエネルギー利用の「全体最適」化がある。
エネルギーを莫大に消費する半導体や液晶画面などのプロセス系工場では、製造装置や設備ごとにエネルギー利用の効率化を進める「個別最適」が中心である。一方、センサーネットワークを構築した工場では、センサー同士が協調し工場全体で発生する様々な変化を捉え、相互に情報交換することでエネルギー利用を「全体最適」に制御することが可能となり、大幅なCO〓削減が見込める。
このセンサーネットワークを、実現するキーデバイスが「スマートセンシングモジュール」(SSM)である。SSMは、MEMSや半導体を集積した数ミリ角のセンサーモジュールで、同社独自の知識情報制御技術や環境振動発電デバイス(微小な環境振動エネルギーを電力に変換し有効利用するエコ技術)を搭載することで、計測・知能(判断や予測)・無線通信・自己発電など自律・分散に必要な機能を一体的に発揮するデバイスである。
現在、同社ではSSMの完成に向け、社内の各所で実証実験・技術開発を重ねており、このほど各種MEMSセンサーを搭載した1センチ角のデバイスを試作することに成功した。
試作したデバイスは、工場の製造装置や設備の状態把握に必要な、計測・無線通信・電源の各機能を一体化。温湿度・風量・振動・電流などの各種データを高精度に測定し、結果を無線でホストサーバへ送信する。
また、試作デバイスを用いた実証実験は、MEMS・半導体の生産拠点である同社野洲事業所(滋賀県野洲市)で行っている。
同社では、この実験を通じプロセス系工場全体で大幅な環境負荷低減を実現するノウハウの獲得を進めており、知能としてSSM及びセンサーネットワークに搭載することを目指している。
さらに、CO〓削減に必要な判断能力を持つセンサーネットワークを構築し、工場でのエネルギー利用の「全体最適」を実現することで、低炭素社会構築に貢献していく方針である。