「省エネ」をキーワードにニーズが広がり、より使いやすい部品や機械・設備を生み出している。半導体・液晶などのFPD製造装置や電子部品実装装置などは小型化志向が強いことから、リニアサーボモータの採用が増えつつある。回転型サーボモータとボールねじとの組み合わせに比べると推力が大きく、短ストローク移動で加減速の繰り返しなど強みを発揮できる。サーボモータの取り付けスペースに制約があり、小型で速い動きが求められている機械などに最適だ。小型という点だけでなく、FPD製造などでは、パネルの大型化に対応して、ボールねじが長くなってたわむことが心配されているが、リニアサーボモータは、直接動いて移動するために大型になっても問題なく使える。
また最近では、「オールインワン・サーボモータ」とうたって、ドライバ、エンコーダ、モーションコントローラ、シーケンサ、ネットワークまでを、1台に内蔵した製品も販売されている。配線作業が不要で、省スペース化にも繋がり、トータルコストダウンにも貢献できる。そのほか、搬送機械、繊維機械などでは、1台のマシンに使用するモータ数が多く、特にサーボアンプの小型化や各軸のゲインチューニング工数の短縮が求められている。このため、回路基板をワンボード化するなど、高密度実装と最適放熱設計での超小型サーボアンプも登場している。
機械・装置と、サーボドライブを繋ぐインタフェイスも重要性を増してきている。機械・装置のコントローラとサーボドライブ間ではアナログ信号やパルス信号が標準的に使用されているが、昨今はサーボドライバーの高性能化・高機能化で、機械・装置のコントローラで制御していた機能もサーボドライバーで行うことが可能になりつつある。
これによって、従来のアナログ信号やパルス信号による指令では、精度や性能の向上が難しいとして、各種の新たな通信方式が開発され採用されつつある。
伝送速度が、最大で100Mbpsと高速であることから、各種データも同時に送受信が可能で、機械・装置のコントローラ制御だけでなく、ネットワークとして生産ライン全体に適用しようとしている。
ネットワークは、国、地域、ユーザーによって異なることから、どんなネットワークでも対応できるようにサーボモータ各社は、オプションの充実を図っている。
さらに、モーションのセーフティ化や防爆対応品の開発も進んでいる。セーフティでは、EN954
Safety
Stop―0を標準装備したサーボモータも発売されているが、機能安全規格IEC61800―5―2(可変速ドライブシステムの機能安全)への対応品も今後増えてきそうだ。防爆ではATEXの新防爆基準に対応して、小型・軽量でコンパクト化したACサーボモータが標準で発売されている。そのほか、厳しい環境下でも使用できるよう保護構造IP65などを標準採用したものやIP67対応品も増えつつある。
サーボモータ市場は、今までの主力需要先がV字回復を見せる中で、完全復活に向かいつつあるが、コスト競争がますます激化しており、中国メーカーなども低価格を武器に力をつけてきている。さらなる拡大を図るためには、省エネなどを切り口にした新たな市場創出と、従来の枠にとらわれない発想の新製品開発が求められそうだ。