NECは非食用の植物原料を用いることで、安定した供給性と70%以上の高い植物成分率によって、電子機器に必要な耐久性を同時に実現したバイオプラスチックを開発した。今後、量産技術や用途に応じた実用特性の研究開発を進め、2013年度内に電子機器向けの実用化を目指す。
同社が主原料として着目したのは、安定した供給性のある非食用の植物資源であるセルロース。セルロースは草や穀物の茎などの主成分で、石油代替が可能なほど豊富に生産されている。これにカシューナッツ生産時に大量に副生する殻から抽出される油状物質(カルダノール)を、化学結合させることでバイオプラスチックを開発した。これらはいずれも多くが廃棄されており、資源として利用することで安定した供給性を確保する。
また、植物資源であるセルロースとカルダノールを主原料に用いることで、高い植物成分率(70%以上)を達成した。これにより、従来のセルロース系バイオプラスチックの特性確保に必要だった、石油系添加剤の大量混合による植物成分率の低下を防げる。
さらに開発したバイオプラスチックは、加熱した際の溶融性(樹脂化)、強靭性(強度・伸び)、耐熱性、耐水性、及び短時間で成形できる非結晶性を同時に実現しており、電子機器向け用の高い耐久性を可能にしている。近年、量産化が進んでいるポリ乳酸を用いたバイオプラスチックは、主に家畜飼料用の穀物から生産したデンプンなど、食用の植物資源を原料としていることから、将来の食糧不足への懸念もあり、非食用の植物資源を使った新しいバイオプラスチックが求められていた。