プログラマブル表示器技術専門委員会(主査=富士電機システムズ伊藤広治氏)は、NECAが社団法人としてスタートした1993年に設置された。「プログラマブル表示器にかかわる技術的事項の調査・審議、規格の制定及び、ユーザーまたは会員への各種啓蒙用の技術資料の作成」を活動目的にしている。
委員会には現在7社が参加しており、基本的に毎月1回委員会を開催しており、これまで117回を数える。
プログラマブル表示器を安心して使ってもらえるように標準化ガイドラインとして6件の技術資料「NECA
TR(テクニカルレポート)」をまとめている。カタログ記載事項や取り扱いガイド、設計ガイドライン、アプリケーションプログラム、及びソース管理ガイドなど、プログラマブル表示器の開発・販売などを行う上での基本的事項である。
10年度は09年度から継続の「JIS
B3551プログラマブル表示器用語」の見直しと、「プログラマブル表示器のセキュリティガイドライン」の作成に取り組んでいる。プログラマブル表示器の用語見直しは抽出用語が完了し、まとめの段階になっている。
一方、セキュリティガイドラインは、09年度に国内外の被害事例など状況調査を実施し、事例の抽出を終えている。10年度は、それをもとにしてガイドライン作成・発行に取りかかる。
コンピュータウィルス対策は、事務所などで使用されるコンピューターの問題で、工場などはさほど大きな問題と捉えられていないケースが多いが、「外部から持ち込んだパソコンを接続したことで、生産ラインが停止したり、品質が低下するといった被害が08年頃から増えている」(伊藤主査)と言う。
プログラマブル表示器は、コンピューターのひとつとして生産現場の中枢を担って使用されているだけに、こうしたウィルスから護るセキュリティ対策は非常に重要性を帯びてくる。
プログラマブル表示器技術専門委員会では、セキュリティ対策を進める上では、セキュリティの重要性を認識してもらうための社員教育が必要だとして、イラストと4コママンガを多用したガイドブックの作成を進めている。
NECAがすでに作成して好評を得ている機械安全ガイド、防爆安全ガイドに続く企画で親しみやすく判り易い内容にすることで、広く理解を深めてもらうことを狙っている。印刷物にするか、電子データだけにするかなど、まだ検討する部分も残っているが製造現場で働く人のセキュリティの重要性が少しでも伝わればと期待している。
また、今年10月頃からは「TR―37表示デバイスの標準化ガイドライン」の見直しの検討も始める。有機ELや無機ELなど、新しい表示デバイスが登場していることに呼応したもの。
伊藤主査は「プログラマブル表示器は技術進歩が速い業界だけに、キャッチアップをしっかりと行いながら、表示器のユーザーに安全な製品を提供し使っていただけるように取り組みを強めたい」と語り、今後の活動に意欲を燃やしている。
【委員会参加会社】
IDEC、オムロン、デジタル、パナソニック電工、富士電機システムズ、三菱電機、山武