パレットを中心とした様々な物流現場で使用されるフォークリフト。この分野にもパレットを指定場所まで移動させるうえで稼働率を高め、しかも安心・安全に作業できるオペレーションシステムの導入が進んでいる。フォークリフトは大量に使う大型倉庫から2、3台の倉庫、屋内、屋外、振動、積載物重量、移動距離などいろいろな条件下で使用されるため、オペレーションをサポートする車載システムが作業効率を左右する重要な位置付けとなってくる。それだけに、導入に際しては自動認識技術や電源技術をフル活用し物流現場を熟知したトータルソリューションが重要である。自動認識システム大手メーカー・東研の最新「無線LAN端末による車載システム」を取り上げ「失敗しないフォークリフト端末の導入」について掲載してみた。フォークリフトの稼働率向上とミス防止に抜群の効果を発揮し注目されている車載システムである。物流現場では、エンジン式やバッテリー式のフォークリフトが縦横無尽に活躍している。日本産業車両協会の統計によると、2007年17万1052台、08年17万4025台が生産されている。フォークリフトを100台以上必要とする大型倉庫から2、3台で十分の倉庫まで現場の規模はさまざまであるが、「パレットを使用する」は「フォークリフトを使用する」と言い換えても言い過ぎではない。自動倉庫のあるところ以外では、ドックに積み下ろされたパレットをフォークリフトで指定の場所に移動させ、出入荷指示がかかると指定された出入荷場まで移動するフォークリフトによるオペレーションが一般的である。以前は、フォークリフトのドライバーが出入庫指示書を目で確認しながら荷物を搬送し、その都度、作業結果を自分で記入して作業を進めていた。そのため、ドライバーは主作業以外の負担が増え、稼働率が低下し、ポカミス発生の原因にもなっていた。また、物量が増えるほどに熟練度によって作業量に大きな差が出ていた。
この稼働率低下、ポカミス防止へ注目されているのが東研の「無線LAN端末による車載システム」である。
この車載システムは、フォークリフトにパネルコンピュータ(車載端末)を搭載し、無線LANによりリアルタイムに作業指示や実績、在庫管理、パレットを効率的に移動させ配置するロケーション指示などを行うものであるが、さらに物品に貼付されたバーコードや2次元コードをフォークリフトに乗ったままドライバーがスキャンできるのが特色である。情報を、車載端末上で操作することでオペレーションを容易にしたいという現場の要望を取り入れ実現したシステムである。
失敗しないフォークリフト端末の導入には、それぞれの現場に最適なアプリケーションを選別し、どのような現場の環境にも適合した対策を講じる必要があり、選定は「多くの車載システム納入実績による豊富な経験が重要なファクター」。
同社では、フォークリフトを用いた物流現場において最適なタッチパネル式車載端末、10メートル離れたコードを読み取れるロングレンジ・バーコード(2次元コード)スキャナーなどのハードウェア提供に加え、入出庫・在庫管理システムのアプリケーションのソフトウェア構築に多くの実績を持っており、それぞれの現場に最良のシステムを提案している。端末が故障したり、システムが正常稼働しないなどのトラブルも解消している。
トラブルは(1)フォークリフトのオペレーションによって大きなサージ電流が起こり、その電流が逆流する形で端末に不具合を引き起こす(2)車載バッテリーの劣化による不安定な電源(3)フォークリフトによる振動が端末に影響を与えることが原因となっている。
この車載電源分野に優れた技術を持つエヌエー・ピー・ラボ社(中川一位社長)との提携により長年取り組み、その結果「バッテリー電源保証装置」の開発と「トラブルのない端末設置」技術で問題解決を可能にした。バッテリー電源保証装置と設置ノウハウは現在、フォークリフト端末と車載システムのトータルソリューションにおいて要となっている。エヌエー・ピー・ラボ社が開発した車載端末用電源装置は、電圧変動、瞬断、ノイズなどの入力に影響されない安定した出力電圧を供給する性能を備え、過電流、過電圧の入力に対しての保護機能も搭載している。そのため、電源に関する問題対策と設置工事にかかる労力を大幅に削減できる。フォークリフトに搭載する端末は、振動対策も重要である。通常のフォークリフト端末の耐震動は2G程度であるが、実際の作業においては急発進、急停止などの要因で7G程度の振動が発生し得るといわれている。同社では、この振動を端末設置用のパイプにより吸収することで振動の軽減を図っている。
端末は、標準タイプのほかにフォークリフトにおける設置場所に合わせた仕様品の製作も行っている。
パレットを中心にした物流現場では、フォークリフトによるオペレーションが一般的であるが、同社では「オペレーションをサポートする端末と車載システムの導入に対して最適なトータルソリューションを提案」していく。