各方面で省エネルギー化実現に向けた取り組みが進んでいるが、工場など製造現場でもさらなる見直しが行われている。非生産時の待機電力削減や無駄に放出されているエアの漏れ、電力の消費管理を、工場全体や生産ライン毎から、個々の生産機械や生産製品毎に行うといった取り組みも行われている。効率化・省力化・省配線化などを目的にして使われている制御機器の活用の場が、省エネというキーワードでさらに広がりを見せている。ここ数年で改正強化されてきた省エネ法であるが、今年4月の改正からはエネルギーの管理が、工場・事業所単位から事業者(企業)単位での規制に体系が変わった。これによって、事業者全体(本社、工場、支店、営業所、店舗等)の1年間のエネルギー使用量(原油換算値)が合計して1500キロリットル以上であれば、そのエネルギー使用量を事業者単位で国へ届け出て、特定事業者の指定を受けることになった。
こうした法的な規制に加え、企業自身もコスト削減の一環として、省エネに注目している。
家電品では使用していない時にも電気を消費している待機電力を減らす工夫が進められているが、工場でも同様に、稼働していない時の機械・装置の待機電力の削減が注目される。
工場のセンサーでは、非接触式のセンサーが主流として使用されているが、このセンサーは非稼働時も電力を消費して待機している。これに対して、接触式のマイクロスイッチやリミットスイッチはメカニカル構造により、稼働していない待機時は電力を消費していない。1個1個は少量な電気消費であるが、装置や生産ライン全体となると大きな電力消費になる。使用用途にもよるが、電力消費や導入コストでは、接触式センサーが経済性に勝る部分も出てくる。
省エネは電力だけでなく、空気制御でも取り組まれている。生産ラインで使用するコンプレッサは、実使用量以上に過剰な台数や容量のものが使用されている工場が多いと言われる。実使用量を計測することで、それに見合ったコンプレッサ選定で省エネに繋がる。このコンプレッサでは、実使用量以外にエアが漏れて無駄になっていることも多く、電力ロスにも繋がっている。実際の使用量を正確に把握して対策を施すことで、大きな省エネ効果を生みだす。
省エネで最も対策に取り組んでいるのが電力消費の削減であるが、従来は工場全体や生産ラインごとに電力消費を把握し、対策を行っているところがほとんどである。しかし、それでは具体的な削減を行うための対策が見つけづらく、その効果も見えづらい。電力消費の計測をライン単位から装置単位にさらに細かくすることで、どこにムダがあるかが分かり易くなる。電力消費を計測できる装置をきめ細かく設置することで、製品ごとや工程毎の電力消費も把握することが可能になる。
最近はPLC(プログラマブル・コントローラ)などと通信しながら、省エネだけでなく、予防保全や品質管理にもこうした電力計測が活用できる提案活動も行われている。
制御機器は本来、省力・効率化・省配線などと並んで省エネも大きな役割りとして使用されてきたが、再度本来の特徴が活かされようとしている。