日立・パナ電工・トヨタなど蓄電池風力発電所活用の居住型スマートグリッド実験開始

日本風力開発(=JWD、塚脇正幸社長)、トヨタ自動車、パナソニック電工、日立製作所の4社は、世界初となる大規模蓄電池併設型風力発電所を活用した、住民居住型のスマートグリッド実証実験を、青森県上北郡六ヶ所村大字尾駮(おぶち)で開始した。低炭素社会実現に向け効率的なエネルギー利用を実証するもので、地域全体でエネルギーマネジメントを行い、エネルギー効率の最適化を実証、国内外での早期の事業化を目指す。

スマートグリッドを構築するには、それぞれの地域が抱える電源や送電線などの電力事情や通信インフラ事情に合わせ、新エネルギーによる発電設備、電気自動車・プラグインハイブリッド車や蓄電池、蓄熱機器などの蓄エネルギー機器を導入する必要がある。

現在、電力エネルギーの移動形態やエネルギー調整手段の多様化を見据え、従来は発電側で調整されていた発電供給形態から、ICT(情報通信技術)を活用し、需要側も対象とした需給調整型への発展が見込まれている。

4社が行う今回の実証実験は、風況に恵まれることから国内最大の風力発電導入量を誇る六ヵ所村で行われ、独立した電力網の自然エネルギー(風力発電、太陽光発電)を供給源としたクローズドグリッド方式を独自に構築し、需要と供給の連動を支える技術開発に共同で取り組むもの。実証実験期間は10年9月開始、12年7月までを予定。概要は、世界初の大規模蓄電池併設型風力発電所を活用し、CO2を排出しない自然エネルギー発電によるクローズドグリッド方式を採用。電力供給側と需要側を協調させ、地域全体でエネルギーマネジメントを行い、エネルギー効率の最適化を実証し国内外での早期の事業化を目指す。

具体的には、日本、欧州、新興国、資源国など対象となる国・地域の電力事情(電源、需要、需給バランス)や、地域事情(離島、気候その他特殊事情など)を想定し、クローズドグリッドでしか実証できないシナリオを作成、エネルギー利用の効率化を実証する。

実生活データに基づく実証が可能で、系統電力から独立したローカル市場モデルの模擬実験が行え、供給側・需要側双方に蓄エネルギー機器を設け多様な運用が可能となる。また、CO2削減要求の高い地域や、電力供給が不安定な地域、自然エネルギーの活用効率向上を図る地域など、ニーズに応える電力供給システムの技術確立も目指す。

発電を効率的に利用するため、供給側で自然エネルギー発電量が多い時は、HUB蓄電池の充電及び蓄熱機器へのエネルギー貯蔵を行う。発電量が少ない時は、HUB蓄電池から電力供給を実施する。HUB蓄電池が放電下限容量となる場合は、需要側への電力供給を停止する実験も行う。

実証実験の主要設備と担当メーカーは次の通り。

六ヵ所村二又風力発電所(既設、JWD)、全体需給制御システムのコントロールセンター(JWD、日立)、スマートハウスは実証棟として6棟を新設し実生活環境を構築する(JWD)、約8キロの自営線(電力ケーブル・通信用光ファイバー、JWD)、エネルギーマネジメントシステム(JWD、トヨタ、パナソニック電工)、自動検針システム(日立)、太陽光発電設備(100kW、日立)、蓄電池(100kW級NAS電池、JWD)、プラグインハイブリッド車「プリウス」と充電スタンド(トヨタ)。

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