配電制御システム業界は、日本の産業構造の転換を見越して大学や異業種企業との共同開発や新規分野への進出など経営方針を攻めに転じた。蓄積した技術を応用し太陽光発電関連、植物工場、ロボット制御、環境関連など事業領域の拡大・強化に乗り出している。同時に、電気設備の診断やリニューアル受注にも積極的である。公共設備投資の減少、産業構造の転換へ舵を切った国家成長産業戦略に合わせ、配電制御システム業界もその対応へ取り組みを強めている。各社とも得意とする配電技術システムの技術を活かして、新市場が期待できる分野へ横展開を図っている。
太陽光発電システム、直流送電関連には日東工業、内外電機が充電スタンド、河村電器産業が関連機器、田原電機製作所はパネルの能力診断に必要な太陽電池アレイチェッカーを発売している。そのほか、多くの企業が関連事業に進出している。
環境関連では、宇賀神電機の子会社アクエアがオゾン分解方式のグリストラップクリーナーを開発。奥井電機は汚泥容量指標測定装置、急速液体冷凍機などを開発している。一光電機は水耕栽培野菜収穫装置を発売している。
ロボット制御関係では、豊電子工業がこれまでのロボットシステムを強化、配電・FA制御とメカトロ技術の融合化によりトータルシステムの構築に注力。ロボットスクールも開設している。
設備診断やリニューアル業務は安定した収益が見込めることから国分電機、白川電機、水谷電機製作所、そのほか多数の会社が取り組みを強め、自社で診断ソフトを開発している。
別川製作所などでは、ソリューションビジネスを提唱し、すでに成果をあげている。
大学や異業種との、共同研究・開発にも意欲的である。
東洋電機は、新技術の開発に大学などの研究機関や民間企業との共同研究を積極的に推進していく方針を決定した。東和電機工業は、経済産業省の「地域イノベーション創出研究開発事業」に参画、弘前大学などと太陽光利用型植物工場のビジネスモデルの構築を目指している。中立電機は、名古屋大学と生物発光リアルタイム測定解析装置を共同開発している。
このほか、IT技術活用による遠隔監視分野に取り組むところが増えている。