オータックス 新社長登場 グローバル視点で強みを発揮社員と一心同体で荒波にチャレンジ

「オータックスグループ3000人余りの社員を預かることへの責任の重さを感じる」―。

10月1日付けでオータックス(横浜市港北区新羽町1215、Tel045―543―5621)の新社長に就任する富田周敬副社長は、笑顔を見せながらも緊張感は隠せない。1974年の創立以来、36年間専務・社長を務めてきた飯塚庄平社長の後を、46歳とふた回り若い富田副社長が継ぐ。「業界内での飯塚社長への人間的な信頼感は厚いものがあるが、色々な面でその力を借りながら早く近づけるようになりたい」。

富田新社長は95年に同社に入社したが、その年に同社が中国での生産拠点として設立した欧達可電子(中国オータックス)の現地責任者として工場の立ち上げに大きな力を発揮し、同社のグローバルな展開に貢献した。00年9月には総経理、08年12月には董事長に就任するなど、飯塚社長から全幅の信頼を得ている。

中国・北京市生まれで87年に来日するまでは、昼間は工場で働きながら、夜間学校へ通って勉強したという努力家である。「ここで働いた経験があることで、工場の従業員とコミュニケーションをとりながら会社の方針を進めるために部下と一心同体でやっていけることに繋がっている」。中国工場には約3000人の従業員がいる。中国では従業員一人ひとりが働きやすい職場にしようと、意見ボックスやe―メールなどのホットラインで話を聞く。また、土日を利用して従業員の日本語の勉強や中等教育なども行っている。

「企業として、こうした教育などを通じて社会に還元できればと行っている。そして、オータックスで働いて良かったと思ってくれれば」。

趣味は「仕事」と語るほど、日本と中国だけでなく世界を飛び回る。「昨年は150回飛行機に乗った」という。それだけに視点はグローバルになっている。「われわれの強みを活かしながら、ピンチのなかでもチャンスを見つけて拡販をしていきたい」。

飯塚社長が「誠実さと決断力に富んでいる」として後任の社長に選んだが、富田新社長も「やればできる、できないことはない」を信条としているだけに、舵取りの難しい時の荒波にどうチャレンジしていくか手腕が期待される。

富田周敬氏(とみた・しゅうけい)=64年2月5日生まれ。46歳。93年3月上智大学経済学部卒業。95年7月同社入社。00年9月欧達可電子(深圳)総経理、04年6月取締役就任。08年12月欧達可電子(深圳)董事長、09年6月副社長。

趣味はゴルフ。夫人と2女。

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