配電制御システム業界は、公共投資が減少するなかで社会インフラ系、環境関連業種の設備新設、食品などの既存設備リニューアルの受注に注力している。受注環境は好転しつつあるが、顧客の値下げ要請に加え同業者間の競争が激しさを増しており価格下落が顕著である。各社は生産見直しによるコストダウンに乗り出しているものの採算性が厳しく、業界あげての取引適正化を求める声が強まっている。配電制御システム業界は、公共施設、インフラ系施設、製造業、サービス業など幅広い層を顧客にしている。今年度の受注環境は、公共投資は期待できないものの、下期からインフラ系、民間設備投資が増え、受注が回復するものと予想されている。業種によって投資に浮沈が出て、引き続き警戒している企業もある。非製造業では、首都圏で再開発・建て替えプロジェクトが進行中など大都市圏で鉄道ターミナル駅周辺の開発が行われている。また、電力で送配電設備の維持更新、ソーラー発電所建設、通信・情報分野ではデータセンター投資が増えている。スーパーなどは出店を抑制している。
製造業では、化学、窯業・土石、非鉄金属、電気機械、自動車などの業種で設備投資が増加傾向にある。また、食品、紙・パルプなどで設備更新も増えている。製造業では特に太陽電池、2次電池関連部材を製造する化学業種などは大幅に投資額を増加させている。こうした設備投資動向により、下期からの受注増加を各社が期待している。
一方、受注競争が一層激しさを増しており、単価の下落が目立っている。
住宅用分電盤以外は、前年の価格を下回っている。
特別高圧・高圧配電盤は2008年度の1面当たり平均単価191万7000円に対し、今年度は186万1000円と前年度比で97・1%。
同様に、低圧配電盤は116万5000円から100万9000円、産業用分電盤は10万8350円から8万8251円へ、監視制御装置は46万878円から19万8237円へ、その他の開閉制御装置も22万7840円から14万8439円へ下落している。
唯一、上昇の住宅用分電盤は1万2797円から1万4019円と9・5%増加している。
先行き受注は改善すると見られているが、受注単価の下落に歯止めをかける営業が重要になってきた。