配電制御システム業界は、受配電盤、分電盤、制御盤、操作盤、動力盤からエンジニアリング機能を備え制御システム構築分野へと事業の拡大を図っている。太陽光発電や情報通信、交通、鉄道、上下水道などインフラ分野、ビル・工場などの建物全体の環境対策システム、工場の生産自動化分野へ積極的に進出している。配電制御システム各社は、ハードに加えソフト力の強化を図り新規需要層の獲得に乗り出している。業界は設備投資の影響を強く受けるため、リーマンショック後、市場は縮小を余儀なくされている。同時に、受注単価の低下も出てきており、その対策が急務となっている。日本配電制御システム工業会(盛田豊一会長)は適正価格での受注促進へ全国で取引正常化に取り組んでいる。
同時に、企業単位での採算性向上へ設計から製造・検査までの抜本的な見直しを行っている。設計の途中変更の低減、作業の効率化、省電線化、組立方法の標準化、製造品の省資源化に取り組んでいるが、各部門の垣根を越え全社の見地から営業から製造、検査、出荷、メンテナンスまでのトータルコストダウンを目指している。
そのため、購買部門も設計、製造部門との連携を強化している。購買部門の扱い高は出荷額の6、7割を占めるだけに責務も大きく、各社は機器・資材選定に当たり視野を広げて情報収集に注力している。
「コストダウン対策プロジェクトを立ち上げ、単なる使用機器の値下げを要請するのではなく、機器の複合化、配線方式によるコストダウンを研究開発として取り組んでいる」(日本電機研究所)。
また、「顧客スペックの120%の性能、容量を選定し、価格優先で品質低下を招かないことが第一条件」(かわでん)とし、顧客満足度の視点から購買業務に当たっている。
「デフレ時代に資材の購買費が反映されていない」(東海EC)とし、海外製品にも目を向ける。
購買担当者は購入に当たり、品質、価格、納期はもちろんであるが、メーカー(商社)との信頼関係を重視している。
機器メーカー(商社)との信頼関係は「クレーム発生後の処理を素早くできるメーカーの体制を重んじている。また、新製品の発表や生産中止、代替品情報の早い提供を求めており、日頃のコミュニケーション」が大切としている。
配電制御システム業界は新規市場の創造へ技術革新を進めながら、コストダウン対策に取り組んでおり、機器・資材メーカーにとって日頃の提案営業がますます重要になっている。