2極タイプの場合、並列した組み合わせが一般的であったが、これを垂直に繋ぐことで、2極ながら1極形と同じスペースというタイプもある。
こうした小型・薄型化により、例えばプリント基板へ取り付けた場合、実装スペースは従来の約半分に削減でき、プリント基板の実装枚数を増やすことが可能である。
用途を特化した専用タイプでは、高い付加価値を提供するものが多い。汎用タイプはヒューズや他社製品との価格比較、さらに納期などで販売競争に巻き込まれやすいが、専用タイプはこうした点を避けることができる。
在庫管理などの観点から、サーキットプロテクタの種類を減らす工夫も行われている。1機種でACとDCに対応できるタイプもその1つで、在庫数を減らすことができ、在庫スペースも削減でき
る。
ユーザー側でも間違った使い方が防げるとともに、注文ミスも防げるなどの利点が生まれる。
このほかにも端子部分にねじアップ構造を採用することで、丸圧着端子の取り付けが簡単になった上、ねじの取り外しが不要で配線工数を大幅に削減できるタイプも伸長している。
一方、コストダウンはサーキットプロテクタでも求められている。一部の部品に入手難が見られ、コストより納期優先の傾向も見られるものの、ユーザーからのコストダウン要求にどう対応するか、さらに原材料の値上がり傾向などもあり、難しい局面と言える。
制御機器業界は、08年秋のリーマンショックから急速に立ち上がりを見せており、サーキットプロテクタ市場も回復傾向を示している。サーキットプロテクタの持つ特徴が、ヒューズなどとの比較で高い評価に繋がってきており、自動車や電動工具などの新市場開拓が進んでい
る。
今後も、安全追求という観点などから新しい需要を創造することも期待されている。サーキットプロテクタは、電源回路の過電流を保護し、装置や機器の安全性を追求する重要な制御機器として堅調な市場を形成している。最近の特徴として、小型・薄型化に加え専用化も進んでいる。また、電子式の遮断方式を採用することで、装置の小型化以外に省配線化にも寄与できるようになった。市場はローコスト製品と高機能製品の双方が伸長する2極化傾向を強めている。今後は、この2極化に対応する製品づくりと同時に、さらなる安全性の追求と使いやすさの向上が製品開発のポイントになっている。サーキットプロテクタは、電子回路や制御回路を過電流や短絡電流などから保護する機器として重要な役割を果たしており、市場規模は80億円前後と推定される。国内では、昨年秋以降の設備投資の回復による需要の急回復、さらに海外では中国をはじめとした新興国での需要が増加していることもあり、市場は順調な回復を見せている。
最近のサーキットプロテクタ市場は、携帯電話、パソコンなど情報通信機器分野での伸長が著しく、これに加えインターネットの普及で、移動体通信関連の交換機や基地局、通信装置関連設備などの分野でも大きな市場を形成している。
また、ITS(高度道路交通システム)関連や、航空、新幹線、地下鉄など高度な設備の管制システム分野でも、安全を支える機器として活躍している。さらに、電源のバックアップとして使用される無停電電源装置や、ソーラーシステム、アミューズメント関連機器、医療機器といった分野でも需要が拡大している。
サーキットプロテクタは、用途や内蔵する機器などにより、細かな仕様が求められるため種類が多くなるが、大きく分けて直列型と並列型に分類される。さらに、遮断する方法によりリレー型、スイッチ型、デュアルコイル型などに分類される。
直列型は最も一般的で、過電流保護機能にON―OFFスイッチ機能を付加したものである。表示ランプを搭載することで遠隔場所からでも遮断状況が確認できる特徴を持つ。対して並列型は、2つの負荷を同時に開閉できるのが特徴である。
従来のサーキットプロテクタは、メカニカル方式で遮断するのが主流であったが、最近発売されたタイプは、電子式の遮断方式を採用することで、4分岐分の遮断機能を本体1台で対応することができる。これにより、装置の小型化や省配線化が可能となった。
装置の起動・停止シーケンス動作のためのシーケンス回路の追加が不要なほか、スタートアップシーケンス機能を付加することで、立ち上がり時の突入電流を抑制、電源電圧が安定領域に立ち上がってから分岐回路へ電源供給することで、装置の安定動作と使用電源容量の最適化を図っている。
最近の製品傾向は、小型・薄型化、専用化などが著しい。装置や機器の小型化と微小電力化などにより、サーキットプロテクタも小型化にシフトしてきており、1極形で幅が17・5ミリ、2極形で35・0ミリ、3極形で52・5ミリというスリム設計の製品もあり、機器・装置の省スペース化を実現している。