国内制御機器市場は、数年以内にグローバル競争が本格化するものと予測される。豊富なアプリケーションを前面に打ち出し一定の地歩を固めている欧米企業に加え、韓国、台湾企業が低価格品で市場の開拓に取り組んでいる。また、成長著しい中国企業も日本市場に関心を寄せている。それに対応して国内各社は、製品個々の市場占有率を高める方針。各社とも、商社販売ルートがカギを握ると見ており囲い込みに拍車をかけている。制御機器の市場規模は、日本が7000億円、中国が2000億~2300億円、韓国が700億円、台湾が400億円と推定される。GDPの伸び率が高い中国市場では、先行する欧米企業に日本、韓国、台湾企業が攻勢をかけているが、近年は中国ローカル企業も多数輩出し、すでにグローバル競争が展開されている。
日本市場は成熟段階にあるものの、中国の3・5倍の規模を持つことから海外企業から注目されている。
欧米企業は、ソフトウェアを駆使したアプリケーション力と価格対応力で市場を開拓している。価格面では中国など人件費の安いアジアの生産拠点から日本市場に供給、また納期も物流管理強化で短納期化を図っている。規格規制の後押しもあり、すでに2ケタのシェア獲得をしている製品もある。韓国、台湾企業は、これまで日本市場を敬遠し、欧米市場向けに力点を置いてきた。
しかし、JIS規格がEU規格と整合する方向に加え、市場の低価格要求もあり、日本市場の開拓に目を移しつつある。
韓国最大の制御機器メーカーであるオートニクスが、日本法人を通して日本市場の開拓に乗り出している。接続機器、表示器などの台湾企業も日本ユーザーとの交流を深めている。
中国企業も技術習得を終えレベルアップし、日本市場に対し関心を寄せている。現在、中国企業は現地の日系企業向けの販売実績をもとに日本市場進出を図る企業が出てきた。中国では機械産業の育成を国家施策として取り組んでおり、制御機器の開発も盛んである。欧米系や日系企業で技術習得した現地プロパーはリレー、センサー、スイッチ、PLC、配線接続機器、温度調節器、トランスなどで品質、技術ともかなり向上している。
リレーでは、中国企業が中国で最大のシェアを獲得している。その他の制御機器も、日系企業が生産する工作機械や製造装置に搭載されるなどしている。
中国製品は日本製と比べ5年から10年遅れているといわれるが、市場拡大速度と技術進展が速く、数年後には制御機器総合メーカーが出現する可能性が高い。
それだけ実力を蓄えつつあることから、日本企業も「5年後には中国企業がライバルになる」と予測し、日米欧に中国を加えたグローバル競争に勝ち抜く対策を取る方針である。