エンクロージャーシステムの世界最大メーカー、独・リタールは、日立製作所から欧州鉄道向けエンクロージャーのプロトタイプセットを受注した。今後実証テストを続け、正式契約となる予定。リタールが受注したのは、ETCS(欧州列車制御システム)に対応したもので、日立が欧州での受注を目指して現地サプライヤーと連携して取り組んでいる。
日立の交通システム部門が、リタールに対して発注を行うのは今回が初めてで、リタールのエンクロージャーに関する品質管理システム・製造プロセス等について厳しい監査を実施し、ヨーロッパの鉄道ビジネスにおける将来的なビジネスパートナー候補と判断した。
日立の品質保証部主任技師としてテストを行った桐生尚人氏は、「リタールの企業としての信頼性や既存製品の品質の高さに加え、リタールが日立と同様にグローバルな企業であることも重要なポイントであった」と語っている。
鉄道車両で用いられる列車保安エンクロージャーは、ダイナミックな要件を満たす必要があり、リタールのETCS対応エンクロージャーは、ドイツ国内で製造され、新しい機関車と列車に装備できるだけでなく、既存の車両に改良装置として組み込むこともできる。リタールは、今回のプロトタイプセットの採用によって、リタールのエンクロージャーがヨーロッパの鉄道車両に標準装備される新たな道が開けたとしている。
リタールは、鉄道に関する屋内・地上・トンネル・車載のあらゆる技術に関わる企業に対し、最新の規格に準拠した標準ソリューションとカスタム・ソリューションを幅広く提供しており、車載用途エンクロージャーとコンポーネントは、都市鉄道やマルチシステム機関車、高速鉄道などの運転室や客車で使われている。
こうした製品は、エンジン安全システムや、電動機駆動テクノロジーの非常電源及び制御電圧供給システム、冷暖房システムに使われているテクノロジーを格納している。
また、固定用途においては、信号システムや保安システム、ポイント切換、信号所をはじめ、GSM―RやETCSといった測定・ワイヤレス・テクノロジーを格納する屋外エンクロージャー・ソリューション、さらには保安室やサーバー・エンクロージャー、IT冷暖房システム、無停電電源装置、ミニ・データ・センターなどのソリューションも提供している。