内需型産業といわれる配電制御システム業界も海外進出が進行している。本紙調査によると、すでに21社が42事業所を開設している。アジアに集中しており、なかでも中国が社数、事業所数で他国を圧倒している。逆に米国は2拠点、欧州は皆無である。顧客のアジア投資増加への対応ばかりでなく、コストダウン対策や現地のインフラ関連受注にも期待し進出しているものと見られる。本紙が配電制御システムメーカー200社を対象に調査したところ、海外に事務所や製造拠点を設けている企業は21社、42事業所に達している。国別では中国が14社24事業所で、2位のタイ2社5事業所を大きく引き離している。アジアではフィリピン、インドネシア、シンガポール、ベトナムが2社2事業所、マレーシアが1社2事業所、台湾が1社1事業所である。アジア以外では、米国が豊電子工業と三興コントロールの2社2事業所のみ。
最も多い中国の進出企業は、宇賀神電機が天津に2社、鳥羽システムが大連に2社、河村電器産業が上海に4社、北京と広東省に各1社、日東工業が北京、上海、浙江省に各1社・事務所、戸上電機製作所が江蘇省2社、上海1社。そのほか上野電機が山東省、サン電材が広東省、東亜電機工業が上海、内外電機が上海、東洋電機が南京、豊電子工業が上海、日本電機研究所が天津、渦潮電機が大連、正興電機製作所が北京に拠点を設けている。
三興コントロールは三興ヘッドクォーターズグループで米国、フィリピン、インドネシア、タイ、シンガポール、マレーシアの各国に開設している。アジアに集中する傾向は、日本企業の海外現地法人の推移と一致している。中国は2005年から現地法人数で最大になり、次いでアセアン諸国となっている。
企業の海外進出が急増するに伴い、配電制御システムの輸出も増加している。配電盤・制御盤・数値制御装置類の輸出は、00年1845億6000万円であったのに対し、05年2716億3500万円、08年3038億4900万円と増加している。08年の仕向け先は、中国が689億8300万円で1位である。海外市場で採用される機会が増えている近年、国内市場中心の企業でもアジア向け受注に注力しており、配電制御システム各社は今後、アジア市場に対する関心をより一層強めそうである。