FA制御機器各社は、国内市場においては市場占有率のアップを最優先に販売強化に乗り出している。ロボット、開閉制御装置、工作機械、半導体製造装置、運搬加工機械など主要ユーザー層は中小企業の比率が高い業種が多い。受注も小口化していることから、商社経由の販売を強化する。
日本の産業構造は中小企業が9割を占める。FA制御機器市場構成も同様な形態にあり、中小製造業の開拓が市場占有率アップに不可欠となっている。
送電・配電用・産業用電気機械器具製造業は5600社あるといわれるが、中小企業が5500社を占める。一般産業用機械・装置製造業は5700社、そのうち中小企業が5600社、金属加工機械製造業は6000社、そのうち中小企業が5900社、精密機械器具製造業は3500社、そのうち中小企業が3400社、建設機械・鉱山機械製造業も1000社のうち950社が中小企業である。各業界とも中小企業が97%前後を占めており、FA制御機器メーカーにとって、中小製造業まで販売をカバーするのは至難である。
また、量産型製造業が生産を海外に移す傾向が強まる中で、工場立地も長期低迷している。今年1~6月の工場立地件数は352件で前年同期比17・8%減となった。工場立地面積も500haで同19・7%減。
量産型製造業の海外生産シフトで、FA制御機器の需要も車載用関連など一部業種を除き小口化に拍車がかかっている。
こうした市場動向に合わせ、FA制御機器メーカーは営業比重をシステムから機器販売に移し、機器単位の市場獲得に再度力を入れ出している。
受注の小口化傾向に対し、機器販売を得意とする商社と連携を深め、市場占有率を高める方針である。
そのため、各社とも昨年から商社対策に注力しており、経営幹部が率先して販売代理店との情報交換を行うなどしている。今年に入って、数社が代理店に対し方針説明会を開き、「機器でシェアトップを目指す」と協力を要請する力の入れようである。商社サイドでも淘汰の時代であるとの危機感を持っており、メーカーとの連携で顧客開拓を望む意向が強まっている。
商社ルート販売の比率は下降気味であったが、再び上昇期を迎え、製販蜜月に入ったといえる。
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