パナソニック電工SUNXが誕生した。FAセンサメーカー・SUNXがパナソニック電工のFA関連製品事業を継承、ブランド名も世界市場で認知の「Panasonic」に統一した。センサに新たにコントロール系を積み込み、7つの大海で舵を取る荒谷悦司社長は「世界のお客様の目線から見て信頼される会社になりたい」とパナソニックの旗を掲げた。そして「数年後のライバルは中国企業になる」ときっぱり。「地産地消、製品ジャンル毎に専門性に磨きをかけ」グローバル競争に臨む荒谷社長に、今後の事業展開などを聞いた。「もともと“SUNX"ブランドはベンチャー性のイメージが高く、業界で確固たる地位を築いた。しかし、国外ではブランド力が弱かったので、今後はグローバルなブランドの“Panasonic"で海外に出ていく」と、荒谷社長はブランド変更の意義を語る。
「SUNXは、センサ、レーザマーカなどが強く、パナソニック電工のFA部門はコントロール系分野が強かったので、事業の広がりが期待できる。しかし、総合FAメーカーになるのではなく、今後もセンサ、レーザマーカ、コントローラなど特徴ある商品群で勝負していきたい。幅広い商品を揃えるのではなく、一つひとつがグローバルな商品に成長する方がいい。尖った山がいくつかあるという専業メーカーに近い体制となる」という考えだ。
具体的には、PLCや大型製品については既存メーカーが強いので、小型のニッチな製品に注力し、センサは既に業界での地位を築いているので、さらに性能、品質に磨きをかけていく。
「海外への工場移転などで、日本国内の空洞化が進んでおり、国内で作るものとしては高度な生産技術を持った加工機などが求められている。その高度な要求に応えられるセンサも求められている」と製品ターゲットについて語る。
海外事業では中国市場に力を入れるため、このほど社長直轄の「中国事業統括部」を設置した。
「社長直轄とすることで、人材をフレキシブルに投入でき、部門間の調整を省いて直接指示しながら、素早く動かすことができる。国内の半導体メーカー、加工機メーカーが中国にどんどん進出して現地で部品を調達する動きがある。こうした動きに応えるため上海、蘇州の現地子会社では“地産地消"の考えの下、企画・開発・調達・生産・販売を一貫して行える体制を整えつつある。現地の市場に合ったセンサ、PLC、インバータなどを製造していく」。
2015年度には、同社の売上げ全体に占める中国での販売比率を25%にまで高める計画だが、その頃には日系メーカーだけでなく、中国・アジア各国のメーカーとの競争も増すと見ている。
営業面では、事業承継前と同じく、同社とパナソニック電工制御が製品別に販売を担当しているが、販売チャネルの違いによる情報の分散化などを防ぐため、「マーケティング統括部」をこのほど設置した。「各部門が連係して顧客のニーズを的確にとらえ、継ぎ目のないシームレス営業を展開していく。パナソニックグループとして、ブランド名も統一されたので、顧客の違和感も少ないと思う。国内部門、海外部門を共に統括するので、顧客が海外に進出した際のグローバル支援にも対応できる。マーケティング統括部傘下には営業開発部があり、顧客に対して様々な提案なども行う」。
また、新規事業の拡大を図るため「Eco・SAソリューション事業開発部」を設置した。「FAで培ったノウハウを軸に、エコとSA(社会インフラ)関連事業を伸ばす。エコとしては、工場やビルの電力データ収集・監視を行う省エネ支援機器、SAとしては立体駐車場、ETC、鉄道関連などを考えている」と新事業について語る。
パナソニック電工のFA事業承継による効果については、「1プラス1が2になるだけでなく、お互いの技術を組み合わせることで、2以上のシナジー効果を発揮した商品群が開発できる。これらの商品力の強さを顧客に評価してもらえるようになる。また、パナソニックグループのR&D資産が活用できるようになり、グループ各社との協力関係も深まった。新しい技術を学び、人事交流などにも柔軟に対応する」ことで、顧客に信頼される会社、存在感ある会社を目指していく。