日立製作所と東洋電機製造は、海外向けの鉄道車両用電機品事業で業務・資本提携した。
業務面で両社のリソースを活用しながら、海外案件に対し、システムの取りまとめの分担や製品の相互供給を行っていくほか、製品設計・開発の分担も検討していく。また、海外案件向けの外部調達資材の共同購買や共同開発を行うことにより、システム競争力の強化、海外事業の拡大を図る。
提携の一環として両社で株式を持ち合い、日立は東洋電機の自己保有株210万株(発行済み株数の約4・5%)を第3者割り当てにより1株340円(総額7億1400万円)で11月11日に取得する。
東洋電機も日立の株210万株(同約0・046%)を来年3月31日までに証券取引市場で取得する。今回の提携は、グローバル市場における競争力強化とそれによる事業拡大を目指したもので、両社は今後、海外における鉄道車両用電機品案件について、システムの取りまとめの分担や得意とする製品の相互供給を行うことで競争力を強化し、海外事業の拡大を推進する。
現在、電力システムや鉄道システムに代表される社会インフラは、新興国を中心に市場の拡大が見込まれており、特に、グリーン・モビリティの一つである鉄道システムは、環境負荷が小さく大量輸送が可能な交通機関として評価が高まっている。欧州、アジア、中東、北米、中南米など、世界の多くの地域で鉄道の新規建設や延伸、車両・システムの改良による高速化などの動きが活発化しており、海外の鉄道システム市場は拡大しており、特に駆動システムを含む車両用電機品分野は、鉄道車両の効率化、信頼性の向上に繋がることから、新規建設や延伸の需要だけでなく、車両の改良の需要も今後拡大していくものと予測されている。
両社は、鉄道車両用電機品(制御装置を含む駆動システム、補助電源装置など)及び、その関連システムに関して先進の製品群や技術、ノウハウを有しており、とりわけ、国内の鉄道事業者向けに培った、主制御機器を含む駆動システムは国内外の市場で高い信頼を得ている。
東洋電機は直流システム制御装置、パンタグラフや歯車装置などの機械分野を、日立は高速鉄道に採用されている交流システムの制御装置などに強みを有し、製品面で相互に補完し合える関係であることから効果が期待できる。