日本ロボット工業会がまとめた2010年7~9月期のマニピュレータ・ロボットの生産実績(会員ベース)は、前年同期比2・4倍の1377億円と3四半期連続でプラスとなった。これでリーマンショック前(08年4~6月期)の水準まで回復した。
自動車産業がハイブリッド車や電気自動車へのシフトが進んだこと、電子部品実装関連市場や半導体関連市場の動きが活発であったことから需要拡大に繋がった。海外も中国向けを中心に溶接用や電子部品実装用が伸長し、欧米向けも上向いている。こうしたことから、同工業界では10年の会員外も含めた生産額の5000億円台乗せが見込まれ、11年はさらに拡大するとしている。
一方、出荷も同2・3倍の1313億円と3四半期連続プラスとなった。国内が同35・9%増の254億円で2四半期連続、輸出も同2・8倍の1059億円と3四半期連続でそれぞれプラスとなっている。
国内では、自動車向けが設備投資抑制の影響を受けながらも同34・1%の56億円と8四半期ぶりにプラスに転じた。アーク溶接用が堅調に推移したことが大きな要因で、スポット溶接や塗装、マテハン用も回復の兆しが出ている。
電子・電気機械産業向けは同42・5%増の117億円で、3四半期連続プラスとなった。情報通信機器の販売好調から、電子部品実装用や半導体(ウェア搬送)用、一般組立用が伸長した。
輸出の内訳は、溶接用が同2・8倍の128億円と3四半期連続、電子部品実装用が同2・8倍の654億円と4四半期連続それぞれプラスとなった。溶接用は、主力の自動車用途がアジア、特に中国の自動車増産と自動化に伴う設備投資が活発なため、急激な需要拡大が進んでいる。欧州向けも回復し、米国向けも回復の兆候を見せている。
電子・電気機械産業向けは、主要用途である電子部品実装用が中国のほか、欧州向けも大幅に増加して、輸出全体を牽引している。
FPD用や半導体用も、情報通信機器(携帯電話、スマートフォン、パソコン、PAD、薄型テレビ)など販売好調を背景に伸長を見せている。