オムロンは、電子式ガスメータ用フローセンサの包括的ソリューションを推進するため、総合半導体メーカーでメータ機器用ICソリューションサプライヤであるSTマイクロエレクトロニクス(グループ本社=スイス・ジュネーブ)と協業する。オムロンのフローセンサを、STが開発中のスマート・ガスメータ向けフローセンサ・モジュールへの搭載を図り、2011年度中の製品化を目指す。電力メータに続き、ガスメータも従来の機械式から、新たに自動検針などの機能を搭載した高性能な電子式ソリューションへの移行が進んでいる。STは、世界で約5億台の機械式ガスメータが存在していると推測、今後、多数の大手ガス供給事業者が、従来のメータからより正確で信頼性の高い電子式メータへの移行を計画していると考えている。
今回の協業に向け、オムロンの流量センサ技術を駆使し、STが開発した流量センサの性能を引き出すアナログ・フロントエンドのICを開発。両社の技術を統合したフローセンサは、最先端の熱式MEMSフローセンサを採用。温度と圧力変動の影響を受けない流量計測を実現している。
小型プリント回路基板上に実装されるオムロンのガス・フローセンサ・ソリューションは、バルブ制御用の内蔵モータ・ドライバ、及び温度と振動の影響からの保護機能を備え、超低消費電力で高精度出力を提供する。小型プリント回路基板には、フラッシュメモリ(32KB)とLCDディスプレイ・ドライバを内蔵したST製の超低消費電力マイクロコントローラ、温度センサ、加速度センサ、リアル・タイム・クロック、電源管理IC、モータ制御用ICが搭載されている。
オムロンマイクロデバイス事業推進本部関口義雄マイクロデバイス事業部長は、「当社はすでに、MEMSマイクロフォン分野でSTとの協力関係を築き大きな成功を収めている。今回発表した新たな協業により、大きな成長が期待される電子ガスメータ市場で、両社が顧客に最も価値あるソリューションを提供できると確信している」とコメントしている。
今回の協力は、オムロンとSTが09年11月に開始した協業をベースに範囲を拡大するもので、電気・ガス・水道メータ機器など、インテリジェント測定分野でのSTの地位をさらに強化するもの。なお、販売面などについては、今後両社で検討していく。
STは各種電子機器向けに、半導体ソリューションを提供する世界第5位の総合半導体メーカーで、09年の売上高は85・1億ドルに達している。