2010年度上期の重電機器の国内生産は、産業用汎用電気機器が輸出を中心に拡大したことから、4~8月までで前年同期比112・5%の1兆2647億9200万円と2桁の伸びを示し、ほぼ予想通りの生産で推移している。下期は産業汎用電気機器の輸出の伸びに鈍化が見られ、円高なども加わることから上期レベルに留まり、2桁の伸長は微妙と見ている。日本電機工業会(JEMA)の北澤通宏会長が5日の記者会見で明らかにした重電機器の生産状況は、中国を中心としたアジア向けが好調であったことから、回転電気機械(同130・8%)、開閉制御装置・開閉機器(同118・7%)とも2桁の増加となり、重電機器全体の生産額を押し上げ、静止電気機械器具(106・2%)は、国内向けの製品が多く占めていることから緩やかな増加となった。
一方、発電用原動機(82・7%)は、昨年4~8月の水準がきわめて高かったため、その反動もあり前年割れとなっている。
この中でも、産業用汎用電気機器は中国を中心としたアジア市場向け輸出が牽引し、10年1月から8カ月連続で前年同月超えを継続している。9月の出荷も同144・5%の685億円と好調で、年度当初の見通しである1兆6518億円は確実に突破する。これは08年度上期ピーク時の1182億円に対し8割程度まで回復したことになる。
産業用汎用電気機器の中でも特に輸出向けが好調に推移しているサーボモータ(352・3%)、プログラマブルコントローラ(201・8%)、汎用インバータ(164・5%)、電磁開閉器(160・3%)などの伸び率が高い。
これに対して、重電機器受注生産品は4~8月計5261億円(90・1%)と国内設備投資抑制の影響により前年同期割れとなった。電力用機器は、依然高水準の受注残を保有していることから、今後も堅調な推移が見込まれるが、一般産業用機器は設備投資抑制の影響を受け、低調な状況が続いている。密閉型ガス絶縁開閉装置が一時的に前年同期割れ(69・3%)となったが、国内送変電設備は70~80年代に納入の設備での更新需要が今後見込める。
一般産業用機器は三相誘導電動機(72・6%)、閉鎖型配電装置(91・4%)などが、09年度下期以降、国内設備投資抑制の影響により低調な状況が継続している。
「今年9月の生産実績はまだ確定していないものの、上期の当初の見通し1兆6500円は達成すると見ている」(北澤会長)。
下期(10~3月)については、当初見通しの1兆6932億円(105・0%)が、重電機器全体を押し上げていた産業用汎用電気機器の輸出が、長引く円高やアジア向け設備投資需要にやや停滞感があることから、伸びの鈍化が見込まれるとして慎重な見通しとなっており、2桁台伸びは確保は微妙な状況だ。