産業用ジョイスティック大手メーカー、東電社(東京都品川区西五反田1―14―2、TEL03―3493―6391)の岩波勝弘社長は、産業用操作スイッチの市場に的を絞り、安心して使用してもらえる「MADE
IN
JAPAN」の物づくりで海外製造品との差別化を図る方針を明らかにした。
現在、高所作業車用ジョイスティック、車両のシフト操作用レバースイッチ、溶接機械用操作スイッチなどが建設機械、車両、工作機械メーカー向けなどに販売が好調であるものの、岩波社長は現況について「本格的な業績回復の兆しとなる突破口が見えてこない。わが国の内需拡大の遅れをそのまま反映する形が受注状況で実態として現れている」と厳しく見ている。
先行き見通しも「円安、株高が起爆剤となり国内の設備投資と消費が活発化してくれば、業界の景気も回復してくる。しかし、円高は当分続き過去のバブル期のような景気再来はない。1ドル80円が必ずしも円高と言えない状況を想定した対策が必要」。
「確かにアジアの低価格品の進出も想定しなければいけないが、国内でも工夫次第で十分に対抗できる物づくりが可能」と判断、そこに注力して行く方針である。
岩波社長は「産業用ジョイスティック、カムスイッチ、グリップスイッチ、トランスミッションコントローラは人命を左右する重要な役割を担っている。あくまでも一から十まで日本製にこだわり、安全・安心を前提に、高品質・高性能を求める市場へのPRも推し進めて行く。また、グローバル市場に対しても製品価値を追求した物づくりで差別化を図って行く」という。
未だ先の見えない景気状況から、来期の経営は「2年前から実行している『入を図り出ずるを制す』を継続し、業務改善や社員の力量向上を図るとともに情報の共有化でPDCAの無駄を省く」経営方針で臨む考えである。