放送機器や映像機器、音響機器などにはたくさんの電子機器・部品が使われ、大きな市場を形成している。
電子情報技術産業協会(JEITA)の資料によると、放送機器の市場規模は年間約1500億円と見られる。2011年7月24日からのデジタル放送完全移行に伴う機器の入れ替えや、テレビ、パソコン、携帯電話など、コンピュータと通信、放送機器との融合化の進展で、国内外での市場は着実に拡大している。
とりわけ、操作用スイッチは放送機器分野でスイッチの塊ともいえるほどたくさんの数が使用されている。同時に、放送機器はスイッチ技術の真価を問われるほど、微妙な操作フィーリングが求められ、加えて照光式スイッチでは表示色の色彩感覚も必要になる。
例えば、放送局の製作スタジオでは、音や映像などを切り替えるスイッチング機器が使用されているが、ここでは1台当たり1000個以上の照光式スイッチなどが搭載されている。
スイッチング操作時のクリック感やストローク量など感触が最も重要視されており、各スイッチメーカーはその微妙な操作感覚の実現を目指した開発に取り組んでいる。
表示色もスイッチの数や用途によって使い分けることから種類が多くなり、さらに暗い場所では目に優しい中間色表示など、色でも微妙なニーズ対応が行われている。
1個でたくさんの情報表示
が可能な多機能スイッチも
最近はスイッチスペースの効率的活用と、わかりやすい操作が実現できる、多機能スイッチが注目を集めている。1個のスイッチ操作部にLEDやLCDなどを搭載することで、文字や絵などによるメッセージ表示が可能になっている。1個のスイッチ操作で、求める情報が段階的に出てくることで検索が行える。LEDの種類も赤、青、黄などに加え、白色の採用も増えている。
スイッチは、最近さらに多機能化し、有機ELの繊細なカラー表示機能を活かした動画表示も可能にしたスイッチも発売され注目されている。また、こうした表示素子技術に強みを持つ台湾などの海外メーカーも日本市場の参入を進めている。
カメラも含め放送機器は、日本製の国際競争力は高いものがあり、特に現在世界20カ国以上で進められているデジタル放送対応化は、外需を拡大する上で大きなチャンスとなっている。
放送局では、放送機器と並んで、最近防犯上からセキュリティ対策機器の導入が増えている。
特にセキュリティカメラは、あまり目立たないが大きな市場を形成している。セキュリティカメラには、周辺機器としてモニターなどもセットとして必要で、監視画面切り替え・ズームなどでスイッチ・表示灯などの電子部品需要拡大にも繋がっている。
放送機器や映像機器、音響機器などは外需も大きいが、内需も堅調に拡大が見込めて、数少ない産業空洞化のリスクが少ない分野の一つと言える。今後も、国内外での堅調な拡大が見込まれ期待されている。