大手製造業を中心に要望が強かった異機種制御コントローラの設定環境の統合、上位ITシステムとの接続などに対し、その解決策として国際PLC標準IEC―61131―3と通信プロトコルIEC―62541の組み合わせが浮上してきた。生産実態と計画管理の情報システムがコントローラに関係なく容易に構築でき、改善作業も短縮できることから、グローバル展開する製造業にとって生産性向上に効果があると見られる。普及にはコントローラメーカーの採用が前提であり、今後の動向が注目される。
製造業はグローバルな事業展開が急務になっており、分散されているどの工場でも計画と実際の進行状況がリアルタイムに把握できる情報システムの構築が重要視されている。そのため、生産現場での制御コントロールシステムのイーサネット接続と、異機種間のプログラム環境の共有統一化が必要とされてきた。
「製造業の技術標準化団体の連携フォーラムMOF2008」で自動車、家電など各業界から実現したい主要ニーズに同様な課題が集約され、今年開催のMOF2010サミットで公表された。その内容は(1)上位ITシステムと各インダストリアルイーサネットとのイントラネット接続(2)情報連携による異機種インダストリアルイーサネットをまたがる制御(3)統一的なコンフィギュレーション環境、ネットワーク接続(4)利便性を確保したサイバーセキュリティ対応の4点である。
この課題解決は、IEC―62541とIEC―61131―3の組み合わせで可能と、主催者のIAFが提言、注目を集めた。
IEC―62541は、OPC―UAが提唱の新世代インターフェース。セキュリティ対策、Windows技術にしないプラットフォームフリー、拡張性などの特徴を持っている。
IEC―61131―3はPLCopenが提唱。5言語でプログラムでき、PLCやプログラムを構成する要素、変数などを標準化したもので、PLC機種への依存度が少ない。
両規格を組み合わせることで統一されたコンフィギュレーション環境が可能。制御コントローラが異なっても装置、生産ライン、工場単位で必要なアプリケーションを扱えるようになり、改善作業の時間短縮、生産能力アップの実現が容易になるという。
もっとも、普及にはIEC―62541の採用が必要であり、機器メーカーの可否にかかっているといえる。