山武は、小型鏡面冷却式露点計「FINEDEW(ファインデュー)シリーズ」に、よりドライな気体の露点計測が可能な低露点タイプ「FDW20」=写真=を追加し、販売を開始した。
価格は260万円からで、3年後100台の販売を見込んでいる。
湿度(露点)は温度と並ぶ温熱環境の代表的な指標のひとつで、25℃、50%RHの湿度計測が一般的。
しかし、近年はよりドライな気体の湿度(露点)計測のニーズが高まっており、吸湿性の高い原材料を取り扱う医薬・化学・食品加工業、熱処理炉の酸化・還元雰囲気の調湿を行う鉄鋼・非鉄金属産業、水分やケミカルコンタミネーションを嫌う材料を取り扱うボタン電池・リチウムイオン電池・有機ELの製造業などが代表例として挙げられている。
このような現場では、従来の品質維持・歩留まり改善といった目的に加え、低炭素社会の実現に向けた省エネの観点からも、より精緻な露点の計測と制御が求められている。
同社では、従来から販売している鏡面冷却式露点計の計測露点範囲を低露点領域にまで拡張して、このニーズに応えた。
新製品は、露点ナマスイ55℃まで計測が可能なことが最大の特徴となっている。一般的にこのような低露点領域では、センサの感度が鈍くなる傾向があり、計測値の安定性に難があり揺らぎが生じると言われるが、同社では小型で熱応答性に優れた検出部に、得意とする制御技術を加えることで、今までにない計測安定性を実現している。
また、同社の計測標準センターが保有するナマスイ50℃まで値づけられた日本国家標準で校正された特定二次標準器を使用して、ナマスイ50・ナマスイ30・ナマスイ10・0・10・20℃の6点の検査成績書が標準で添付される。
現在、国内で販売されている同種の鏡面冷却式露点計の中で、ナマスイ50℃台まで国家標準へのトレーサビリティーが確保されているものは同社以外にない。
同社では、この機種をコアに、よりドライな気体の湿度(露点)計測のニーズが高まっている各種産業で、露点雰囲気管理をより精緻に行うためのさまざまなソリューションの提供とともに、最近話題の二酸化炭素固定化技術の研究や、レアアース磁石の磁場中プレス工程の雰囲気制御研究などへの適用も視野に入れている。