3.4
製作
ここでは、3.3での設計で得られたFBの定義(制御仕様及びその入出力の定義)に従って、プログラミングしていく。
3.4.1
プログラミング言語の選択
PLCのプログラミング言語として、従来から用いられてきたラダー図言語(ラダー回路)に加えて、近年、IEC
61131―3で規定された次の言語を用いることができるプログラミングツールも登場するようになった。
詳細は、箇条5を参照されたい。
3.4.2
変数の命名について
データまたは信号を受け取ったり、一時的に保持したりするために変数が用いられる。この変数には、個別に“変数名"をつけて用いる。変数名は、自由な名称を設定することが可能だが、その変数の用途、格納するデータ種別などによって名称の付け方を工夫することでプログラムの可読性を上げ、後々の保守において処理内容を理解する助けとなる。
大切なことは、簡単なルールでもよいので事前に用意しておくことである。特に、多人数でプログラムの作成及び保守を行う場合には重要なことである。
a)処理の理解を助ける命名
プログラムで用いられる変数について、その変数の使用目的に沿った意味ある名前で命名されていると、プログラムを理解しやすくなる。
変数名に信号の意味を明確に示さない場合のプログラム例は、次による。
上記と同じ処理を行うプログラムでも、変数の名称が使用目的を端的に表現することで、処理の内容及び意図が汲み取りやすくなる。
b)仮名・漢字を用いた命名
変数名に仮名・漢字を用いると、端的で分かりやすく命名することができる。ただし、PLCシステムを海外に輸出する場合、現地のプログラミングツールが正しく表示できないこと、現地エンジニアが仮名・漢字が読めない場合には保守できないことなど、現地の環境を考慮されたい。
c)変数命名のポイント
変数の命名方法のポイントは、次による。
・システム仕様書などの上流仕様書で用いられている用語を変数名に用いる。上流設計との一貫性が保ちやすくなる。
・変数名を短くするための略称は、いくつか事前に整理して、部門間で共通したものを用いる。別のエンジニアが知らない無理な略称は、せっかくの意味ある命名でも理解することが困難になる。
d)プログラム中で識別しやすい命名の例
変数の命名に特別なルールを設け、変数名からほかの変数とは区別できるようにしておくと便利な場合がある。例えば、グローバル変数はあらゆるプログラムの場所から値の設定・取得が可能な変数である。このグローバル変数を扱う処理を変更する場合、ほかの部分にも影響を与えることがある。そのため、表8のようにグローバル変数をほかの変数と区別するためのプレフィックス(接頭辞)を用いて命名しておくと、プログラムのコード記述の中から見つけやすくなり、プログラム変更の際に注意を引くことができる。
(つづく)
【日本電機工業会PLC技術専門委員会プログラミング・ツール分科会の「PLCアプリケーションの開発効率化指針」から転載】