今年の労働災害は昨年を上回る見通しが強くなった。死亡者も増加している。挟まれ・巻き込まれ事故も多く、製造業だけでなく建設業向けに機械安全装置の普及が急務になっている。
厚生労働省調べによると、今年9月までの死傷災害発生は、全産業で5万人を超え5万5643人に達した。昨年に比べ1013人の増加である。このうち製造業は昨年に比べ285人減ったものの1万2006人と依然多い。建設業も1万996人の死傷者が出ている。
死亡発生事故は、10月末時点で876人、昨年比105人増加した。製造業は昨年比12人増え144人、建設業は3人増の277人に達している。死傷の原因は、10月末時点で墜落・転落1万4272人、転倒1万7495人に次いで、挟まれ・巻き込まれが1万1768人、切れ・こすれも6971人と多い。
挟まれ・巻き込まれでは、一般動力機械が2986人と最も多い。次いで、動力運搬機2164人、金属加工機械1324人、人力機械工具等738人などである。切れ・こすれが原因では、人力機械工具等が1863人、木材加工用機械が1658人、一般動力機械が1279人、金属加工用機械が557人を占める。
挟まれ・巻き込まれは、死亡者が全産業で127人。製造業(47人)、建設業(26人)が目立つ。
機械安全対策が講じられていれば防げる事故が多いといわれる。機械安全は製造業だけでなく高所作業車、土木機械、クレーンなどでも機械安全装置が普及しつつあるが、さらに加速させる必要がある。
ある制御機器商社では「新規顧客からテーマをもらい人体安全装置の開発をセンサー専門メーカーに依頼しているが、安全に関する市場は商社でも取り組める」と意欲を見せている。