Fa制御機器業界もいよいよ12月を迎えるが、流通関係者の今下期から来年にかけての見通しは、各論入り混じり予測しにくい状況になっている。地域別でも、現在よりも落ち込むという地区がある一方、中部地区では来年1月からの新型車投入で、今年7~9月の水準に戻るかもしれないという意見や、九州地区では「ソーラーアイランド九州構想」により、長期的な成長を予測する声もある。
今後の市場動向について、FA制御機器流通業各社の見通しは地域的に温度差が見られた。「あまり良くならないだろう」という意見は、中四国地区や、東京を除く関東・甲信越地区などに多かった。
中四国地区では、上場企業など大手企業約60社の第2四半期の状況を見ると、増収が17社、増益あるいは黒字転換が11社、一方減益または赤字の企業が12社で、売上高は改善しているものの、利益面では悪戦苦闘している企業が多い。
同地区の大手企業であるマツダは、中国向けを中心に輸出が好調であったが、全体的には円高の影響で業績悪化や設備投資の先送りなどの状況が出てきており、約60%の企業が「好影響より悪影響の方が強い」としており、「上期より下期の方が厳しくなるだろう」という声が多い。
また、東京を除く関東・甲信越地区の上期の状況は、太陽光発電関連が重電メーカー向けへの需要が好調に推移しているが、2011年3月予定の北関東自動車道開通に伴う、道路周辺の工場団地への企業誘致が思うように進んでおらず、若干のマイナス要因となっている。
さらに、同地区の求人倍率は今年9月までで0・69となっており、約3分の1の人が職に就けない状況にある。リーマンショック前の07年は1・2~1・3で、その時に比べると求人数は半分の状況にあり、10月・11月はもっと悪化するという声もある。
この一方、比較的明るい見通しを立てている意見が多かった地区が九州地区、中部地区、東京地区である。
九州地区では、6・7月に半導体関連の生産増やエコ減税関連などで状況の改善が見られた。さらに、パワーデバイス関係は夏休み返上で業務にあたるなどリーマンショック前の状況に戻っている分野もある。
また九州は、第2世代の薄膜系太陽電池の世界的な集積地だが、太陽電池に関わる製造検査装置や材料・資材、最終製品(アプリケーションシステム)、設置・施工までを含む太陽電池産業の集大成として、メガソーラー施設建設などの「ソーラーアイランド九州構想」が動いており、これらに絡み、今後九州地区が大きく発展するのではないかという意見が広がっている。
中部地区は、自動車産業や工作機械など製造業が多く、この2つの業界の動きで左右されるが、上期は自動車のエコカー補助・減税などで非常に順調だったが、下期に入ってから生産がかなり低下している。
国内の自動車生産について、ある調査機関が10~12月分の国内生産予想が、7~9月分の87%までしか達しないと予測している。グローバル平均では95%という予測数値を出しており、国内は若干低い数字になっている。予測を覆すには、やはり中国など新興国の需要に期待をかける声が多い。
流通関係者の中には「年内は明るい話題がないが、来年1月以降は新型車の投入で今年の7~9月のレベルまで戻るのではないか」という前向きの予測を出しており、政府の効果的な経済対策にも期待をかけている。
また東京地区は「現在の状況は踊り場で、この先はまだよく分からない」という声が多いが、鉄道など社会インフラ関係、さらに新エネルギー関連や環境関連市場は成長しており、「来年は大きな変化が現れるのでは」という意見も出ている。