横河電機は、レンジフリーコントローラ「FA―M3シリーズ」の新シリーズとして、「FA―M3V(エフエー・エム3ヴィテス)」=写真=を11月24日から販売開始した。価格はCPUモジュールが10万円(プログラム容量60キロステップ、基本命令処理速度3・75ナノ秒)と17万5000円(同260キロステップ、3・75ナノ秒)。また、プログラム開発ツール「WideFild2」も「WideFild3」としてバージョンアップして15万円で発売した。2011年度3万システム、12年度5万システムを販売予定。
新製品は、FA―M3の「速い・小さい・賢い」の特徴をさらに向上させるために、CPU、OSを一新し、業界トップの高速処理と高機能を実現した。
CPUモジュールに搭載した新開発のラダープログラムエンジン演算エンジン「Vitesse
engine(ヴィテス・エンジン)」は、基本命令の実行速度を3・75ナノ秒(同社従来製品比5倍)と高速で、100キロステップのプログラムを1ミリ秒で実行できる業界最高の演算処理速度を実現している。
しかも、プログラムや信号入出力のリフレッシュも、100マイクロ秒周期(同比2倍)で行い、位置決め指令などの時間短縮が図れるほか、位置決め制御などに有効な64ビット整数演算命令や倍精度浮動小数点演算命令もサポートして、高い精度の高速演算が可能。
また、命令の実行とネットワークなど各種周辺処理を完全に分離して並列で処理できる新制御方式「PIPS」によって、ばらつきのない高速安定スキャンを可能とし、装置の安定動作を実現する。
さらに、キャッシュレジスタ、SDメモリカード(最大32Gバイト)、RAMディスク(4Mバイト)を標準装備で大容量データの取り扱いが容易なほか、TCP/IP
socket通信、UDP/IP
socket通信、FTPクライアント、FTPサーバ、上位リンク、リモートプログラミングなど、豊富なネットワークプロトコルを実装しており、機能拡張も容易。
そのほか、ハードウェアECCや、プログラム保存用にフラッシュメモリを採用して信頼性確保、ユーザ認証機能/ユーザ別操作制限機能/CPU操作制限機能などにより、誤操作防止やセキュリティ性が向上し、操作ログ機能で、CPUに対し何時どのような操作が行われたかを確認できるなどの高信頼機能で安定した稼働を実現できる。
一方、WideFild3は、今までのユーザからの意見を反映し、トラブル解析やプログラムでバックを容易にするサンプリングトレース機能、クロスリファレンス機能など100以上の機能を強化しており、高機能化するアプリケーションプログラムの開発・保守効率向上に効果を発揮。
同社は1989年9月にPLC市場に参入、92年12月から小・大規模までをカバーするFA―M3シリーズを販売している。電子部品・電子機器組立装置や半導体製造装置向けなどを中心に、小型で速いという特徴を活かしてシェアを拡大しており、新製品もこの特徴をセールスポイントにしている。
なお、12月1日からの「セミコン・ジャパン」の展示会場に展示する。