チノーと岩手大学は、植物の発熱システムに注目し、世界で初めて植物の温度制御アルゴリズムを用いた温度調節計=写真=を開発した。温度整定時間の短縮、高いオーバーシュート抑制力を発揮し、制御対象により大幅な省エネ効果も期待できる。生物の繊細な代謝機能を模倣した工業化研究の成功例として大いに注目される。同社では、汎用温度調節計DBシリーズに搭載、制御対象の省エネ効果商品として、積極的に拡販する方針。
開発の温度調節計は、1998年に岩手大学農学部の伊藤菊一教授により開始されたザゼンソウの発熱研究に端を発し、その後の岩手大学工学部との農工連携、チノーとの産学連携を経て産業用温度調節計として商品化した。
採用のザゼンソウ制御は、従来の制御アルゴリズムで動作する調節計に比べ、制御量を無駄なく敏速に設定値に到達させることができ、高い堅牢性と省エネ特性を両立させた優れた制御機能を発揮する。
ザゼンソウ制御の特徴は、制御量の変化からその到達値を予測して制御を行い、最適な操作量を出力するアルゴリズムであるため、整定時間を保ちつつオーバーシュートの発生を抑制する。また、制御対象の熱的特性を捕らえ、それぞれに適した操作量を出力するため、無駄なエネルギーの投入が避けられ省エネ効果が期待できる。外乱抑制の能力も優れている。
これまでの実証では、半導体制御装置(拡散炉・アニール炉)、金属熱処理炉制御装置、恒温・恒湿槽制御装置、オートクレープ、空調設備の分野で省エネ、オーバーシュート抑制の効果が認められている。
同社は、開発の温度調節計を搭載したDBシリーズを発売、今後、用途と適用分野を広げていく。