日本電気計測器工業会(JEMIMA、小野木聖二会長)はこのほど、「電気計測器の中期予測(2010~14年度)」をまとめた。毎年、JEMIMAの自主統計などをベースに今後の5年間を予測してマクロ的な動向を調べているもの。
09年度の海外拠点を含む電気計測器全体の売り上げは、前年度比16・2%減の6149億円となって、08年秋のリーマンショック経済の影響を受けて、08年度をさらに下回った。これはピークであった06年度の1兆297億円の約60%になる。電力計を除き、電気測定器(一般)、指示計器、環境計測器、PA計測制御機器、半導体・IC測定器、放射線計測器などが大幅に減少した。10年度は、中国を中心とした輸出の大幅な増加などにより、08年度の水準に近くなる。
11年度は、10年度の猛暑やエコカー補助金の打ち切りなどの反動が予想され、円高や東アジア全体の景気減速などの心配があるものの、中国経済の再加速を背景にした需要回復が期待されることから、08年の売り上げを超える。12度以降は伸び率は鈍化するものの、前年度を上回る拡大が期待され、12年度同4・5%増の8131億円、13年度同2・5%増の8335億円と成長する。14年度はピーク時の約83%まで回復する。
10年度の機器別売り上げ(海外拠点売り上げを除く)は、電気測定器が同47・5%増の2190億円、PA計測制御機器が同12・9%増の2708億円、指示・放射線・環境・電力量計が同3・3%減の792億円、電子応用機器・FA用計測制御機器が同横ばいの48億円を見込んでいる。
電気測定器(一般)は、再生可能エネルギーやアナログ放送停波に伴う無線周波数の再編関連で測定器需要の増加が見込まれ、海外も中国、インドなどアジア地域の経済発展が世界のGDPの成長率を上回ると見ている。
半導体・IC測定器は、半導体メーカーがスマートフォン市場の拡大や、ノート型PC、薄型テレビの需要増など電子デバイス市場の好調を受けて、設備投資を活発化させることから、10年度は96・2%増の大幅成長に転じる。
PA計測制御機器は、中国市場を中心とした輸出の増加、大型物件やメンテナンス費用増加などにより、回復を鮮明にしている。
また、14年度売り上げは、電気測定器が2923億円、PA計測制御機器が3051億円、指示・放射線・環境・電力量計が865億円、電子応用機器・FA用計測制御機器が同横ばいの82億円を予測している。
JEMIMAでは、07年度から、海外で生産し海外で販売する機器が増加していることに対応して、電気測定器とPA計測制御機器の2分類製品については海外拠点売り上げも統計に加えてグローバル市場の実態に即した予測を行っている。