照光式押しボタンスイッチは、表示灯を兼備したスイッチで視認性とスペース性でメリットがあり主流となっている。光源はLEDが高輝度、長寿命、低消費電力の点で主流となっている。特に低消費電力は大きな魅力で、装置全体でスイッチを多数使用されることが多いだけにメリットが大きい。
また、液晶や有機ELを光源や表示素子に採用して、情報の多彩な表現力を実現した押しボタンスイッチも普及が進んでいる。中でも、今後の動向が注目されているのが有機ELである。有機ELを光源として採用して、表示部に画像やメッセージなどを表示させ、しかも一つの表示面で何種類にも切り替えて表示できるというまったく新しいスイッチも登場している。
有機ELの持つきめ細かな表示は、テレビのような画面を実現できる。通信機能を搭載することで、画面の変更なども容易に行えるなど新たな発想は、今後のスイッチ市場を占う上で大いに注目される。
LCDをスイッチ表示部に採用して、メッセージやキャラクターなどを表示できるスイッチもある。
一方、デザイン性と機能性を満たすタイプとして、ベゼル高さが2ミリ前後の薄型スイッチも浸透し始めている。パネル全体がシャープで引き締まったデザインになるほか、凸凹の少ない操作パネル面は、食品機械や半導体製造装置で求められるゴミや埃の付着を防いだり、パネル面の突起に当たることで生じる誤動作などを防ぐ利点がある。
安全の確保という点から、安定した市場を形成しているのが非常停止押しボタンスイッチである。プログラマブル表示器の普及が進む中にあって、非常停止押しボタンスイッチは必須であることから、スイッチ各社が盛んに開発を行っている。普段あまり使わなくても、非常時には確実に働く構造が開発のポイントである。
さらに、安全性・危険回避の追求では、同じくイネーブルスイッチも注目されている。軽く押すとON、さらに押すとOFF、離すとOFFの3ポジションで操作できるスイッチで、グリップスイッチなどに採用されている。人は危険を感じた時、必ずしもスイッチから手を離すとは限らず、逆に力が入って握り(押し)すぎる場合もある。このどちらの操作にも対応できる危険防止構造となっている。