不二電機工業は、鉄道車両分野に向け、高信頼性のスイッチや表示機器を中心に事業の強化拡大を図る。また、海外事業においても重電・電力分野を中心に鉄道車両向けへも拡販を図る方針で、早期に海外事業の売上高5億円を目指す。
同社は、1992年に鉄道車両向けに高性能の運転台切換スイッチを開発、JRなどに採用され鉄道車両分野へ参入を開始した。
その後も連結操作スイッチや保安器切換スイッチ、運転台表示灯など運転台関連のほか、戸閉め検出スイッチ、信号遅延リレー、尾灯・標識灯、車側灯、さらに床下制御機器として絶縁耐圧スイッチ、絶縁耐圧用コネクタ、断路端子台などが、各電鉄会社の車両に採用され高い信頼と評価を築いてきた。従来は、メンテナンス需要が多かったが、最近では新規の車両にも採用され、鉄道車両分野の事業が拡大してきた。加えて先日、幕張メッセで開催された鉄道技術展にも出展し、大きな反響を呼ぶとともに、具体的な商談にも発展している。さらに、今年4月には鉄道車両工業会の賛助会員に入会するなど、鉄道車両向けの事業を本格化させている。鉄道はCO2削減の観点から世界的に需要が伸びており、同社では今後、海外の鉄道車両用にも新しいスイッチを開発・提案するなど、国内外を問わず積極的に営業を行う方針である。
一方、同社の海外事業は、社会インフラの整備に合わせ、主力の重電・電力分野を中心に順調に業績を伸ばしている。特にクウェートやサウジアラビア、トルコ、エジプト、UAEなど中近東が好調で、東南アジアも順調に推移しており、総売り上げに対する海外の売上高比率も17%まで上昇している。今後も、海外は重電・電力のほか鉄道などインフラ整備の物件が伸長する見込みで、同社では海外事業にさらに注力する方針である。同社では海外の売上高について今期4億円突破を目指しており、早期のうちに5億円の売り上げを目指す。
一方、主にスイッチ類やリレーなど制御用開閉器や補助リレーの専門工場として予定している草津の新工場(滋賀県草津市)が来年2月末に竣工する予定である。産業用スイッチ工場では画期的なクリーンルームを導入しているほか、太陽光発電設備も備え、発電した電気を同工場で使用し、年間約7万トンのCO2削減を図るなど、環境にも配慮した工場である。
同社では、既存の草津製作所を表示灯・表示器と応用電子機器、新旭工場を接続機器の専門工場にする方針で、各工場の機能を明確化する方針である。