三菱電機は、福山製作所(広島県福山市)に約50億円を投資し、最新鋭のロボットセル生産ラインを導入、2011年1月からの新形ノーヒューズ遮断器、漏電遮断器の生産を本格稼働する。このロボットセルラインでは従来、自動組み立てが困難であった機構部も含め全組み立て工程を自動化するもの。今回の本格稼働により、製品のリードタイムを5日から1日に短縮するとともに生産能力を、現在の年間300万台から、1・6倍にあたる480万台へ拡大させる。
また、個々の製品に付けたバーコードを活用し、小ロット多サイクル生産にも対応でき、垂直多関節型ロボットの活用により、約40%の省人化と省スペース化も実現できる。同社は10年1月に、グローバル規格に対応した新形ノーヒューズ遮断器・漏電遮断器「WS―Vシリーズ」の販売を開始したが、これを機に生産ラインもロボットなどのFA機器を結集して構築することにした。
このロボットセルラインには、高速大容量のデータ通信でFA機器の連携を強化する同社の「iQ
Platform」を適用したロボット、シーケンサ、インバータ、遮断器、計測機器など自社製の最新FA機器を多数使用して生産革新を図るとともに、自動化モデル工場として外部へのアピール効果も期待している。
ロボットセルラインでは、iQ
Platform対応の多関節型ロボット85台や安全シーケンサによるフェールセーフ機能や自己診断機能により、生産ラインをより安全に制御する。
また、「MELSEC―Qシリーズ」電力計測ユニットの導入により、リアルタイムにエネルギーを把握するなど、省エネと生産性向上を両立させている。
ノーヒューズ遮断器・漏電遮断器は、生産数量と機種が常に変動し、安定しないことや、構造が複雑なことから全工程の自動化は難しかった。同社では、WS―Vシリーズの開発にあたり、自動組み立てしやすい設計にも考慮することで実現した。