パナソニック電工は、中期計画に基づき、海外展開の拡充とエコデバイスの創出を図り、2018年度に制御機器事業においてアジア地区でのトップクラスを目指す。同社の制御機器事業は今上期、地域別売り上げで日・米・欧が08年並みの売り上げを示し、特に中国市場が大幅に拡大した。分野別売り上げでも車関連・生活密着・ITインフラ・IT端末の全分野で回復を見せた。下期は先行きの不透明感を指摘しながらも、年間で連結売上高1970億円(前年比23%増)、連結営業利益210億円(同147%増)と、売り上げ・利益とも過去最高を目指している。
一方、同社の中期における市場環境の認識は、09年から12年までのCAGR(年平均成長率)を国内5%増・欧州7%増・米国8%増・中国15%増・アジア11%増と全地域成長すると予測。
分野別予測では、ITインフラが携帯電話における3Gの伸長と、スマートフォンなどの伸長で9%増、IT設備が5%増、車載分野・生活快適分野はエコをキーポイントにそれぞれ10%・11%増と予測。特に携帯電話・車載製品は中国など新興国で大幅に成長すると見ている。また、為替については世界経済が安定するにつれ、緩やかに円安に回帰すると見込んでおり、材料価格については金属、原油価格は上昇傾向を続けると予想している。11年以降に伸長する分野・市場については、太陽電池、HEMS、エコカー、スマートフォンを挙げており、特にエコ関連やスマートフォンなどは、市場の伸びが顕在化するとしている。
同社は09年の構造改革により業績を回復に導いたが、このような中期の市場予測に基づき、12年度までに基盤事業の海外展開とエコ事業の種まきを完了させ、18年には海外展開とエコデバイスの創出で、制御機器事業でアジアのトップクラスを目指すという中期計画を打ち出した。
製品展開では、現在のリレー/スイッチ/コネクタ/FAから、新しい商材としてEVリレー/車載デバイス/FPCコネクタ/LMP、さらに次世代商材として創電・配電・蓄電などのエコデバイス/光コネクタ/FAソリューションなどに注力する。また、海外展開では12年までに中国・アジア展開と構造改革を完遂させ、さらに中国での大増販とインド市場の攻略を図り、次にブラジル、ロシア地域での拡販を目指し、18年までに海外販売比率を65%まで引き上げる。
特に、インド市場については「インド市場攻略プロジェクト」を10年下期中に発足させ、現地体制強化で販売の拡大を図る。内容は営業拠点を現在の2拠点から12年に10拠点に拡大、営業人員も2人から50人に拡大する。さらに、デバイスと車載については専属の担当者を各1人ずつ出向させる。さらに中期における商品・事業での成長戦略では、エネルギーマネジメント事業と、エコカー事業(EVリレー)の両事業を推進す
る。エネルギーマネジメント事業は、同社とパナソニック、さらに三洋電機というパナソニック・グループの総合力を発揮し、「創・蓄・省」をコンセプトに事業を加速させる。エコカー事業もパナソニック・グループの総合力を発揮するとともに、EVリレーなどにおいてエコ関連商材の採用で単価アップを図る方針である。