昨年は、2008年の世界同時不況を引き摺って幕を開けた。1月に米国でオバマ大統領が誕生し、日本では8月に民主党が政権を手中にした。産業界では世界最大の自動車メーカーGMが破綻、日本では環境・省資源・省エネルギー・代替素材に一斉に目が向けられた。各国の積極的な財政投融資で、後半から景気回復の動きが出始める▼今年は、1月に日本航空の会社更生法申請で始まり、チリ大地震、上海万博、小惑星探査機「はやぶさ」帰還、記録的な猛暑、中国レアアース輸出制限、15年振りに1ドル80円台を付けた円高など話題は多い。電子部品、制御機器業界は回復が続き、一部で納期遅れも発生。秋から受注量が鈍化しているが、昨年よりは明るい年の瀬である▼来る11年は、設備投資が堅調に推移するといわれているが、FA制御機器各社は「実際のところ先行きは分からない」という。正直のような気がする。ある経営者は「経済評論家の講演会や関連本を読んでも明快な答えが出ない。不況を理由にせず、自分を信じ状況に応じて対策を決断実行していく」と▼ただ国内、海外市場での競争は激しさを増す。国内にいても海外に出ても、欧米やアジアの同業者と市場の動向を注視し対策を講じる点では各社が一致している。これからは従来にも増して、アンテナの感度の良し悪しで業績が左右される時代といえそうである。
分岐点
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