新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
2010年の世界経済は、各国の景気刺激策により緩やかに回復しましたが、我が国では特に中国を中心としたアジア経済の拡大や国内の緊急経済対策によるエコ政策効果などにより、GDPは3年ぶりのプラス成長となりました。
このような環境のもと、ロボット業界の10年は、国内需要の回復は鈍化傾向にあったものの、中国をはじめとしたアジア等の新興国市場の活発な需要に牽引され、生産額は年初予想を大幅に上回る5100億円が見込まれています。この数字はピーク時の約7割までの回復となるとともに、出荷の7割超を輸出に依存することになります。
11年の今年は、国内にあっては政局の混迷が続くなかで、円高及びデフレ基調は依然として続いており、個人消費や設備投資に大きな回復感が見込めない状況にあります。一方、海外では欧州を中心とした金融市場の不安定化要因や米国の金融緩和策などによる懸念材料があるものの、引き続きアジアを中心とした新興国での景気拡大が続くものと期待されています。
ロボット業界としても、このような海外新興国市場での持続的な成長のもとで、11年の生産額は6000億円台にまで回復すると予測しております。
当会としましては、次の更なる成長・発展に向けて以下の項目を重点に取り組むこととします。
第1は「研究開発と市場拡大に向けた取り組み」です。申すまでもなく、ロボット市場の拡大にとっての礎は研究開発にあり、その要素技術から利用技術に至るまで今後とも積極果敢に推進を行う所存です。また、NEDOの「生活支援ロボット実用化プロジェクト」に参画している当会として、サービスロボットの安全性に関するデータの蓄積と提供手法に関する研究開発を引き続き推進することとしております。そして、従来の産業用ロボットに加え、今後の潜在市場として大いに期待されるサービスロボット分野についても、当会が事務局を引き受けている「ロボットビジネス推進協議会」とも連携しながら、新たな市場の顕在化に向けた取り組みを通じ、その産業基盤のインフラ整備と産業振興の推進に努めることとします。
第2は「国際標準化の推進、国際協調・協力の推進」です。国際標準については、欧米が市場獲得の手段として戦略的に取り組んでいるように、我が国においても産業用ロボットは勿論のこと、今後その市場拡大が期待されるサービス分野では官民挙げての取り組みが重要と思われます。国際社会での規範形成に汗をかき存在感を高めるという観点からも、業界が率先して国際標準化活動に対して積極的に取り組むこととしております。
また、既に我が国のロボット輸出割合が7割を占めるなか、グローバル競争が更に熾烈となっていくことが懸念され、国際的な摩擦回避等を図るうえでも従来にも増して国際協調・協力を推進していくことが肝要です。国際ロボット連盟(IFR:InternationalFederationofRobotics)での活動を始め、様々な国際交流の場を通じて協力・協調を図っていく所存です。
以上の点に加えて当会では今年、「一般社団法人」の認可申請を行うこととしており、その実現に向けた活動とともに、本年6月開催のJPCA
SHOW、マイクロエレクトロニクスショーとの合同による「2011実装プロセステクノロジー展」、そして11月開催の「2011国際ロボット展」の両展を開催、そして海外市場動向といった調査研究事業や普及推進等の事業についても引き続き実施することとしております。このように社団法人日本ロボット工業会では、業界の再活性化をめざし意欲的に諸事業を展開していく所存ですので、関係各位の当会への一層のご支援とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様のご活躍とご発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。