今年のシステムラック、ボックス市場は成長が確実視されている。世界同時不況前の市場規模の9割まで戻る見通し。データセンターの拡充、太陽光発電の促進、電気自動車普及のインフラ投資、工場の生産設備更新など中長期含めて市場環境は良好である。一方で、メーカー間の販売競争は一段と激化すると見られており、今年は“晴朗なれども波高し"といえそうである。
サーバラックはデータセンターの投資に左右されるが、昨年同様に今年も順調に需要が拡大する。データセンターはクラウドコンピューティングの本格化、携帯情報機器の機能拡大などにより収納情報量が過剰であることから、今年も設備投資の増加が見込まれる。ネットワークラックの市場はイーサネット経由で生産現場と経営情報の統合化が進んで、引き続き伸長傾向を辿る。FA・計測制御用ラックは、工場の生産・検査設備が更新期に当たり、2年ぶりに需要が回復する。
一方、ボックス市場も防爆市場で拡大が見込める。また、新規市場として太陽光発電関連接続箱・中継箱、充電スタンドが登場している。コスト削減へ標準ボックスを購入する傾向にあるが、メーカーでは多品種少量生産体制の強化によりカスタムメイド性をも色濃く打ち出すことに成功、「標準+カスタム性」で需要喚起を促す。
ところで、昨年はキャビネット工業会、盤標準化協議会ともに環境方針を発表、CO2削減、資源有効活用、環境貢献形製品開発、有害化学物質の使用規制を業界あげて取り組む姿勢を明確にした。新規や更新需要の際の販促に活用できる。