産業用トランスは、電源電圧を安定・変圧させる役割を担っている。
トランスの生産額は、ここ数年減少が続いていたが、一昨年後半から急速に回復してきている。
半導体製造装置関連、自動車などの工作機械関連や成型機分野など主要市場に加え、風力発電などの新エネルギー分野、情報・通信分野、アミューズメント分野も活発だ。原材料の高騰の影響やユーザーのコストダウン要請などで、厳しい局面も見られ、量的な確保と材料の効率的な活用、在庫管理の効率化で利益確保に向かいつつある。
製品仕様では、トランスの小型軽量化に加え、接続方法の簡易化、ねじアップ方式、マルチタップ化などの工夫が施されている。ねじアップ式端子台を搭載したタイプは、配線時間が大幅に短縮でき作業性の向上が図られる。入力側とともに出力側もマルチタップ化し、1台で多種類の電圧に対応できる製品も注目されている。さらに、ねじアップ式端子台にLEDを取り付け、通電中はLEDが点灯し通電状態を目で確認できるタイプが評価を高めている。
また、トランス自身にノイズ対策機能を持たせたタイプは、ノイズ対策専用トランスが不要となり、コスト、スペースなどの面でメリットが出ている。日本は雷被害が多いことから耐雷トランスの需要が増加している。
最近、金型を使用しないプリプレグ方式のモールドトランスも増えている。通常の乾式トランスに比べ、導電部の絶縁や保護に効果を発揮し、難燃性や耐湿性に優れる。さらに、金型レスのため、ユーザーが求める様々な容量・電圧に対応するトランスの製作も可能。