今年は厳しい景況となる。エコカー補助金がなくなり、家電のエコポイント制度も対象商品が削減された。恐らく国内の設備投資は増えないだろう。しかし、景気悪化を理由に“止むを得ない"ではいけない。景気の好転を待っていては世の中の動きに遅れてしまう。メーカーとして一歩先を行くことである。
当社は、足で情報を集め、今まで気付いていなかった市場を捉え製品を開発、販売攻勢をかける。その際、技術、製造、販売の判断基準は、パイの量を追いかけるのではなく“質"を求めることである。現在、技術、製造、営業が一体で質への取り組みを行っているが、社内の意思統一は強固になっている。
「量」から「質」への転換は、3年前の価格改定が転機となっている。海外の安価な製品とは競わず、品質、性能で競争する道を選んだ。若い幹部が中核になり取り組んだ。技術・製造は高品質・高性能化に取り組み、営業は製品価値を認めてもらう能動的活動を実行した。リーマンショックと不況を通じ、会社の方向性の正しさが実感として社員に行き渡った。社員の若返り時期でもあり、タイミングよく不況をプラスに転換できた。
その効果が今期に現れている。社員が頑張り、期初の予算を10%上回って推移し、リーマンショック前の9割に戻している。工作機械業界に対し営業が新規開拓先として展開、フットスイッチでカスタム品開発にまでこぎつけた。医療機器向けも同様である。また、プラズマ自動切断システムは専門チームを編成し受注増加となった。
今期の勢い、流れを来期も続けていく。
来期は新3カ年計画をスタートさせるが、メーカーとして攻めの姿勢で取り組み、成熟社会だからこそできる質的成長を図る。フットスイッチなどの新製品も発売する。