2011年の年頭に当たり、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
さて、昨年は、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件や北朝鮮の韓国砲撃など日本の外交・安保上の危機管理能力が厳しく問われる出来事が続きましたが、一方において、「はやぶさ」による小惑星イトカワの微粒子回収など明るい話題も数多くありました。
電設業界の現状を見ますと、09年度の電気工事受注高は約15%の大幅な減少を示し、10年度に入っても未だ低水準にあります。
受注競争の激化や公共事業予算の大幅な削減など電気工事業を取り巻く事業環境は依然厳しく、更には円高の急速な進展に伴い、国内設備投資の冷え込みや製造拠点の海外移転等、国内産業の空洞化も懸念されています。
日本経済再生に向けた強力な施策展開が焦眉の急であり、「新成長戦略」の具体化など、実効性のある景気対策の早急かつ確実な実施を求めるものです。
当協会は、このような状況の下、健全かつ公正な競争により、高機能・高品質・高効率なトータルシステムとしての電気設備を適正な価格で提供するとともに、低炭素社会の実現を始めとする新たな分野への挑戦・開拓と、優秀な人材が集まる夢と生きがいのある職場づくりを目指し、諸般の活動を進めてまいります。
活動の第一の柱として、顧客との直接対話を通じて電気設備工事の品質確保、技術革新への対応やライフサイクルコストの低減に的確に対応でき、また、品質とコストとの関係が透明かつ明確な「分離発注方式」の採用を公共発注機関等に引き続き強く訴えていきます。
少子高齢化の進展に加え、若者の技術職離れが深刻になる中、労働集約型産業である電設業界が今後とも健全に発展していくためには、技術・技能の的確な継承と優秀な人材の継続的確保・育成が不可欠です。その第一ステップとして、中小会員企業が実施するインターンシップを支援するための助成金制度を構築します。適正な利益を確保しつつ品質の高い電気設備を提供するためには、適正な価格・適正な工期での受注を確保し、健全で公正な競争市場の構築を進めることが必要です。特に、需要設備の使用前検査の規制緩和に伴うコストアップや品質管理・安全面への影響が問題となっており、適正な受電、工程確保に向けて業界としての対応策を検討します。また、建設生産システムの関係者間の公正で合理的な取引関係の構築に向けて、関係各方面に改善を求める要請活動を行っていきます。
低炭素社会の実現に向け、電設業界としても「省エネルギー対策の強化と再生可能エネルギーの活用」の分野において、高度な技術と品質で積極的に貢献していくことが重要です。特に、急速に広がっている一般照明用白色LEDについては、重量、放熱等の取り付けに当たっての問題点を整理し、電設業界における施工上の統一基準の策定に向けて検討を進めます。
このほか、「第59回電設工業展」の開催、登録電気工事基幹技能者の認定の推進と処遇改善の具体的方策の検討、750万アクセスを突破した電子カタログ(JECAMEC)の一層の普及拡大、一般社団法人への移行等、60年を超える歴史と実績を踏まえ、皆様のご要望・ご期待に応えて積極的に取り組んでまいる所存です。
結びに、皆々様のご繁栄とご健勝をお祈り申し上げ、新年のご挨拶と致します。