国内総生産で世界2位の座を中国に奪われ、大騒ぎになっている。中国の経済力に対し脅威論さえ出ているが、ところが研究者の数ではとっくに追い抜かれている。研究者の数はその国の経済力を支えるひとつの指標として捉えることができるので、研究者や技術者を養成する政策が重要である。
文部科学省の調べによると、06年の研究者の数は、中国122万3756人、日本81万9931人である。07年は中国が20万人増加の142万3381人に対し、日本は82万6565人で、その差が開いている。ちなみに、EU―27では06年134万2116人、07年131万4201人である。
世界の研究開発投資に対するシェアは、06年では米国47%に次いで日本が18%で2位、中国は11%で3位であるが、20年の予測では米国は38%で1位の座を守るものの、中国が猛追し27%まで浮上し、日本は14%で3位へランクを下げる。もっとも、特許出願件数は07年で日本が1位を堅持し、次いで米国、韓国、中国、ドイツの順である。ノーベル賞受賞でも判断できるように、日本の科学研究者の高い水準は誇れる。
気掛かりは研究者の数である。工学、機械などの自然科学系研究者は、05年14万2485人、00年比で9857人も減少している。研究者に比べ技術者はもっと深刻である。00年の252万3885人から、05年は214万612人と15・2%減となっている。電気・電子技術者も13・6%少なくなっている。歯止めを期待したい。