車社会のインフラ整備が本格化する。ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車に次いで、燃料電池自動車(FCV)も2015年の市場導入を前に水素ステーション建設が始まる。配電盤・制御盤、制御機器、防爆機器業界にとって、国内の新規市場となるだけに、インフラ整備の拡大に期待が寄せられている。
トヨタ自動車、JX日鉱、日石エネルギーなど自動車3社とエネルギー事業者10社が燃料電池自動車の国内市場導入と水素供給インフラ整備に関し、共同声明を発表した。
声明は、自動車メーカーはFCV量産車を2015年に東京、名古屋、大阪、福岡の4大都市圏を中心に販売開始を目指す。水素供給事業者は、15年までに100カ所程度の水素供給インフラの先行整備を目指すという内容。
経済産業省でも国家施策として水素ステーションなどの水素供給インフラ整備支援を表明しており、関係省庁間で調整し主要な規制の見直しも12年度までに完了する。
FCV燃料の水素は石油、天然ガス、石炭などの化石資源のほか、太陽光、風力、バイオマスなど再生可能エネルギーの利用によっても製造が可能である。また、製造から出荷、輸送設備、水素スタンドまで関係する業種は多様である。
水素ステーションには圧縮機、蓄圧器、ディスペンサー、プレクール設備、バルブ、計装・制御システム、保安設備などの装置や設備、高圧ガスエンジニアリングが必要である。
これらの設備には配電制御システム、制御機器、防爆機器が採用されるため、各社とも関心が高くなっている。
山武では水素ステーション制御システム、流量調節弁のハード・ソフト開発に取り組んでいる。制御システムに関しては制御盤、PLC、タッチパネルなどの最適設計、ソフトウェアの標準化とパッケージ化、ディスペンサーとプレクール設備、蓄圧器、圧縮機の連動による最適制御を開発する。
他の企業でも期待を寄せて、開発に取り組みだした。同時に、インフラ整備の状況を見守っている。
海外でも米国、欧州、中国などがFCVは次世代自動車として、開発、普及に乗り出している。
欧州燃料電池水素共同実施機構は08年度~13年に4億7000万ユーロ、ドイツ国家革新プログラムで08年度~17年度に5億ユーロなど研究の加速、水素インフラ整備に取り組んでおり、国家間での競争も激しくなっている。
それだけに、日本でもインフラが今後急速に整備されるものと見られ、配電制御システム、制御機器業界にとっても見逃せない新規市場である。