オムロンは、IAB、EMC、AECの主力制御3事業が大幅に回復、第4四半期も順調に推移すると予想していることから、2011年3月期業績予想を上方修正し、売上高6200億円、営業利益490億円、税引前利益455億円、純利益300億円を目指す。また来期からの新しい経営体制のスタートに伴い、「チーム・オムロン」として経営陣の協調体制を推進し、早期に売上高1兆円体制を目指す。
制御機器事業のIABは、国内ではスマートフォンなど電子端末機器の需要拡大で半導体・電子部品業界の設備投資が増加、さらにエコカーを中心に自動車業界の設備投資も堅調に推移して、売り上げ・利益とも大幅に回復している。
海外のIAB事業も円高の影響を受けているものの、全地域で好調を持続している。
特に中国は内需拡大が続き、機械輸出も好調に推移、これに適合した商品の投入と営業力の強化を図った結果、売上高は前年同期比62%増と順調に拡大している。また、新興国のインド・ブラジルでも製造業の投資意欲が旺盛で設備投資需要が増加している。
山田義仁オムロングループ戦略室長は、「IABは国内、海外とも勢いがあり、シェアも拡大している。IABはまだまだ伸長する余地があり期待したい」としている。
家電・通信用電子部品のEMCは、スマートフォン絡みや車載部品などの業務・民生分野が、新興国での需要拡大と、先進国での環境・省エネ志向の高まりで堅調に推移、さらに主力のリレーやスイッチが各地域で好調に推移し、産業機器部門の売り上げを増大させている。
自動車用電子部品のAECは、昨年10月時点では、下期を厳しい状況で推移すると想定していたが、現時点では想定していたほどの落ち込みはなく、比較的好調に推移している。
また、社会システム事業のSSBは、駅務システムの自動券売機や自動改札機などの導入が順調に推移、高速道路や公共施設での異常検知など、安心・安全ソリューションへの案件が具体化しており、中期計画で積極的に取り組んでいく方針だ。
一方、第3四半期を終了した時点での地域別累計売上高も、国内が前年同期比20・6%増、注力エリアの中華圏が27・4%増、東南アジア他が33・8%増と大幅に増加、さらに北米25・9%増、欧州11・0%増と全地域で売り上げが拡大している。
なかでも中華圏・東南アジアは、営業利益もそれぞれ51・9%増、74・1%増となっており、売り上げ・利益とも大きく貢献している。こうしたことが、今回の通期業績の上方修正に繋がった。
また、来期の計画について山田グループ戦略室長は「現在、プラン策定の架橋段階だが、アクションプランも含め、アジア地域への注力、省力化のニーズに対応するIAB事業、各種の要求が高まるEMC事業などに注力したい。役員の平均年齢も若返るので『チーム・オムロン』としてスクラムを組んで取り組み、早期に売り上げ1兆円を達成したい」としている。