生産技術の指導を外部委託している従業員200人規模の工場を訪問した。工場は量産ラインとセル生産が同じ建物の中にある。自動化ラインはほとんど自社で工夫した専用機である。レイアウトが生産規模に合わせて変更できる自由度の高いものであった。セル生産の現場は1人で組み立てていたが、ラインで行うよりも生産性が高い。独自の改善志向がその会社の強みである。
日本は生産技術に優れているという。トヨタ自動車の看板方式やソニーのセル生産方式などは有名だが、企業が懸命に生産性向上に取り組んで編み出したものである。それに比べ公的機関の研究は意外と少ない。製造業が外貨を稼ぐ手段であるだけに、もう少し国家的な観点から生産技術の重要性に目を向けて欲しい。
現在見聞する公的研究機関は産業技術総合研究所、学術機関は東京大学生産技術研究所、北陸先端科学技術大学院大学、京都工芸繊維大学、関西大学など十指に足らない。標準産業分類では大分類が20、中分類が99、小分類529、細分類1455件にのぼる。製造業の業種(中分類)は24件あり、4人以上の事業所が26万件存在する。
製造業でも業種、企業規模で自動化の仕方が異なり、今までは企業が独自に行ってきた。しかし、インフラ輸出の次には、生産システム・ノウハウの輸出に移る。公的研究機関による基礎的な研究の充実・強化が求められる所以である。