電気制御機器の出荷は過去最高額超えが射程に入ってきた。2010年度の出荷額が過去最高であった07年度の約93%の水準まで回復が見込まれているためで、11年度にも並ぶか、超えるものと見られる。アジアの新興国を中心とした外需が大きく伸びているためで、PLC(プログラマブル・コントローラ)、PD(プログラマブル表示器)、FAセンサーなどを中心に前年同期比50~100%増加するなど、当初の予想を大きく上回っている。
日本電気制御機器工業会(NECA)は、10年度の出荷見通し額を、当初の5700億円(前年度比25・1%増)から6200億円(同36・1%増)へと500億円増額し、上方修正した。上期(4~9月)が3095億円(同62・1%増)と当初見通しの2790億円に比べ約11%上振れしたことが大きな要因。第3四半期(10~12月)も1560億円(同24・7%増)と依然高水準で推移している。
上期は、FAインテリジェントセンサーが188%増と3倍近い伸びとなっているのをはじめ、PDが85%増、PLCが78%増、非接触センサーが72%増などほとんどの品目が50%前後増加し、マイナスとなった品目はなかった。
また、国内が同52・7%増の1838億円に対し、輸出が同78・1%増の1258億円となって、依然輸出が国内の伸び率を大きく上回っている。
NECAでは、こうした上期の好調な推移に対し、下期については多少の鈍化が予想されるとしているが、第3四半期の国内が予想以上良かったのに対し、輸出が予想より落ち込むなど多少の違いがあったものの、全体としてはほぼ予想通りであったことなどから、下期の出荷額を3110億円に上方修正し、通期の出荷総額を6200億円(国内3670億円、輸出2530億円)に引き上げた。特に、輸出は07年の2332億円を抜いて過去最高になり、輸出比率も40・8%になる見込み。
11年度の見通しについて現在検討を進めているが、前年度比約5%増の6500億円前後が予測される。しかし、市況は昨年12月頃に比べ、年明け以降の状況は予想以上に好転している。スマートフォンやタブレットPCなどの売れ行き好調を背景に、電子部品実装機や各種加工機械、半導体・液晶製造装置などの受注が前倒しとなって、国内、韓国、中国、台湾などに向けて出荷されており、自動車関連も、国内ではEV(電気自動車)、海外では新興国向けでの生産設備投資が牽引し、動きが活発化している。
電気制御機器出荷は07年度に6682億円と過去最高額を記録しているが、10年度の出荷見込み額はまだ約480億円足りない。11年度が約8%増加すると突破することになる。
また、増加傾向にある海外生産―海外販売のOUT―OUT出荷分が年間約500億円あるものと見られることから、これを加えるとすでに電気制御機器の出荷は過去最高額を超えているといえる。