マルツ工業(浜松市東区白鳥町80、TEL053―424―0202、石津明次社長)は、日本で初めてシリコーンゴムなど柔軟性樹脂への真空蒸着・塗装技術「マルツコート」を開発、配線資材業界向け販売に乗り出した。
同社は家電製品、自動車・オートバイ部品の塗装を専門にしている会社。シリコーンゴム、エラストマー、EPDMなど柔らかい素材への塗装は金属皮膜が剥がれたりして加工が困難とされてきた。新開発のマルツコートは、表面改質処理、ベースコート、イオンプレーティング、トップコートなどの工程を経て真空蒸着、塗装をする。オリジナル塗料と加工技術を確立し、蒸着した金属皮膜の剥離を防ぎ、曲げても、ねじっても割れず元の形状に戻る。
多彩な色の塗装が可能で、柔軟性樹脂に高級感を持たせられる。日本では初めての技術という。
大阪工場に設備を導入、今年から量産体制を敷き本格的な受注を開始した。
配線資材は黒やグレーが基調色であるが、マルツコートで処理することにより、色彩は一気に拡大し、製品の付加価値が高まると見られる。
石津社長は「マルツコートの開発により、従来は不可能であった素材でも活用が広がる。配線資材はどちらかと言えば地味な製品だけに、使用者にとって色に対するこだわりは余りない。しかし、このような分野にこそマルツコートが必要だ。多彩な色の製品ができれば、使用者も喜ぶ」と配線資材メーカーからの受注に期待を寄せている。