高度情報社会に反比例するかのように欲求の向上が希薄化している。情報媒介の進化に、心が追い付かないのが原因だが、人の意欲が湧き出てくるまで待つとしたら、新製品の開発が停滞し製造業自体が縮小してしまう。情報過多が製造業の市場を縮める遠因ともいえる。
確かに、居ながらにして情報を入手できるのは便利であるが、単なる収集で満足してしまい、イメージを形成する力を削ぐ結果になる。情報入手のし易さと量の多さが、行動範囲を狭めてしまい、心をもマヒさせる。外に出ていろいろ見て回り、人との接触を増やすことで、再考が始まり、心の隙間に気付かされる。それを埋めたい欲求に駆られる。
先日、ある会社が開催した代理店/パートナー会での基調講演で、講師の藤田紘一郎人間総合大学教授が「35年前にはなかったアトピー、花粉症などのアレルギー病の蔓延は、微生物を排除したキレイ社会が原因」といい、腸内細菌の必要性を説いた。そして、生活に笑いが大切と、個室よりも団欒を薦める。
話を聞きながら、情報社会は一種のキレイな会社を作り出しているのではないかと思えた。主催のこの会社では、営業が無菌室から出て代理店やパートナー会社と同行販売している。種々の免疫力が増え、顧客の顔が見えるからであろう、業績も伸びている。やはり、材料は外に出て取るものである。