三菱電機は、米国・テネシー州メンフィス市に発電所・変電所向け大型変圧器の製造・組み立て、試験の一貫生産工場を新設する。今年4月に着工し、2013年4月の稼働を予定。投資金額は約180億円(土地、建物、生産設備を含む)。敷地面積は約40万平方メートルで、工場が延べ床面積約3万2000平方メートル、管理棟が約6000平方メートルとなっている。
北米は世界の全送変電設備容量の30%以上を占める世界最大規模の市場となっている。しかし、過去に設置した送変電設備が取替え期を迎えており、今後更新需要が急速に拡大することが見込まれている。
また、再生可能エネルギーで発電した電力を765kV級の超高電圧で大都市に送る送電網の新設計画や原子力発電所の新設計画が順次具体化していることから、送変電設備の需要が高水準に継続すると見込まれている。
同社は現在、系統・変電システム製作所赤穂工場(兵庫県)を大型変圧器のメイン工場として約27GVAの生産能力を有している。しかし、こうした米国での受注見通しなどを含めると、15年には45GVAの生産能力が必要と判断、新工場建設となった。
米国では、スイス・ABB、独・シーメンス、韓国・現代が大型変圧器の市場シェアトップ3で、同社は4位となっているが、今回の新工場建設を含めた体制整備で、15年には変圧器事業を現在の1・5倍の500億円まで拡大するとともに、米国で20%のシェアを獲得してトップを目指していく。米国には電力・交通事業を中心とした現地法人、三菱エレクトリックパワープロダクト(MEPPI)がペンシルバニア州ピッツバーグにある。MEPPIは、既に展開している開閉器事業に加え、今回の変圧器事業を強化することで、米国でのさらなる変電事業の拡大を図るとともに、交通、無停電電源装置、大型映像などで中期売り上げ目標10億ドルを目指す。人員も現在の600人から900人に増やす計画。
今般ピッツバーグの本社に隣接する事務所棟と敷地(約2万2000平方メートル)を新たに取得し、スペースを拡張する。